冬の刻-18 ページ28
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ひっそりとあるその場所は墓と言われなければ単に石が積まれた寒々とした空間としか思えへんし、こんな場所が寺の奥にある事が俺には信じられなくて返事も出来へん。
「ほんまの墓はきっとどこかにあると思います。これは仮とでも言いましょうか？魂だけでも安らかに……そう思いながら積み上げたらしいです。」
「こんな寂しい場所に？」
「戦とはこういうものなんですよ、忠義殿。」
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きっぱり言う言葉に俺は無言になってしまう。
風の音
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葉が風に揺れて音になる
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「聞きたいことは何です？」
完全に俺の心を読まれている。
そう感じたのはりゅうさんが俺をじっと見てくる態度ですぐに分かった。
「さっきの人ですが……知り合いですか？」
「さっき？」
「あの小屋で会っていた。」
りゅうさんは小さく笑ってから俺に近づいてから手に触れた。
冷えた手の指
軽く触れたはずなのに俺の指は一気に冷えてしまう。
「あなたはほんま何も知らないで生きておるんですね。」
「え……」
「誰に見えました？」
「叔父上に似ていた……」
小さく笑ってからりゅうさんは俺の手を引き小さな石に溜まっている水を指さした。水かがみのよう
になっているその水面にはどんよりとした竹林が写っていたのに、彼の指が触れただけで別の世界を見せてくる。どこかの籠の中にいる男の姿は叔父上でなく……
「皇子？さっきまで寝込んでいられた皇子がなんで？」
「さぁ、僕は初めて拝見したのであの方が皇子だなんて分かりませんでした。」
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絶対嘘や。
りゅうさんは分かってわざとそう言うてる。
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瀬奈(プロフ) - ミムラ様コメントありがとうございます。月詠記はあのまま置くのが一番と思い置かせていただきます。こちらは新たに書き足して進めていきますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2020年6月13日 16時) (
レス) id: d70537b0b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミムラ(プロフ) - よかったです。世界観、書き表し方とても好きです。何度も読み返してます。消さないでほしいです。次も楽しみにしています。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: 39731cc6b3 (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - kkoyanagi様 コメントありがとうございます。前のお話をもっともっと向き合いたくて、まずは最初から書いてます。ゆっくりあのお話に繋げていきますのでお待ちくださいね。 (2020年3月9日 20時) (レス) id: d24f83f6f0 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 良かった、前のお話凄く気になっててどうなるんかなぁって心配でした。有り難うございますゆっくり待ちます。 (2020年3月9日 7時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年3月3日 18時
