冬の刻-12 ページ22
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屋敷の人間はあの日の出来事、あの騒ぎが何もなかったようにしていたのが俺は信じられへんかった。
正直自分だけあんな恐ろしい目に遭ったのかと思うとありえへんって思うのが普通やん。
誰に話しても信じてもらえないのも分かっておるし、悶々と過ごすしかないって行く事も。
「昔話やと屋敷すべてが呪われているって思うんやけどな。」
やけにこの話に食いついたのは信五殿やった。
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「それが俺だけっておかしないです？」
「女を泣かしたんちゃいますか？」
意地悪な顔で言われ俺は「勘弁。」なんて言うとケラケラ信五殿は笑った。
「今の御所の外の空気からしてよろしくないのは確かですから。戦があちらこちらで起きていて、誰が力を握るかのそんな世の中でここだけは時間の置いてきぼりなんてありえへんって思うんよな。」
信五殿の言う事は確かで、外ではどの大名が力を得るか?ミカドに近寄るかと虎視眈々と争っているのに公家だけはのんびりしておるんだから。九条の家も一条の家も醍醐の家も……戦など関係ないと言わんばかりの生活をしていれば町民から恨まれて言っても致し方ないんやないかって。
「そう言えば、皇子様はどうなんです？」
「あぁ……体調を崩されて寝込んでいられると父から聞いてます。」
俺が生霊を見た翌日から体調を崩され寝込んでいるのを父上経由の母上から聞いた。お見舞いに行く事も出来ない状況だと言うから何が起きているかほんま分からへん。
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「心配でしょ？」
「そうですね。」
兄だと言うことを言えない以上、関係は曖昧な感じでしか答えられへん。
皇子の状況は母上が言うには……床に伏したまま魘されているのも気になってしまうんやけど、どうしてなんや？
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「生霊やろうな。」
夜遅いその時刻に彼は現れそう俺に教える。
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瀬奈(プロフ) - ミムラ様コメントありがとうございます。月詠記はあのまま置くのが一番と思い置かせていただきます。こちらは新たに書き足して進めていきますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2020年6月13日 16時) (
レス) id: d70537b0b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミムラ(プロフ) - よかったです。世界観、書き表し方とても好きです。何度も読み返してます。消さないでほしいです。次も楽しみにしています。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: 39731cc6b3 (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - kkoyanagi様 コメントありがとうございます。前のお話をもっともっと向き合いたくて、まずは最初から書いてます。ゆっくりあのお話に繋げていきますのでお待ちくださいね。 (2020年3月9日 20時) (レス) id: d24f83f6f0 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 良かった、前のお話凄く気になっててどうなるんかなぁって心配でした。有り難うございますゆっくり待ちます。 (2020年3月9日 7時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年3月3日 18時
