冬の刻-9 ページ19
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都の空気がよどんでいくのを感じたのはちょうど春に向かう前やった。
戦が山向こうで起きている話を聞いたころ、ミカドは信頼できる公家しか寄せなくなって非常に気まずい空気が御所に流れていく。
「ミカドのご機嫌は最悪やで？」
苦笑いして言う皇子様の傍で俺と信五殿は困った表情で顔を見合わせてしまう。
御所でも人を疑う事が多くなっていくせいか、皇子様も勝手知ったる仲の公家以外ご自分の敷地に呼ばなくなった。呼ばれない人間はいい感じでないから、また空気が悪化していく。
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「皇子様も外出できなくて暇でないです？」
信五殿の疑問に池にいる鯉に餌を与えながら素直に頷かれた。
「暇も暇や。ミカドのご機嫌損ねたら身内でも何されるか分からへん。」
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最悪な状況。
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現実にミカドは自分の義弟を島に流された。
理由などない、疑心暗鬼になりだしていく。
いらない知恵を与えますます環境は悪化すると伝えたくても、若い公家の言葉などミカドに届くわけなく黙っていく。悪循環やと思うんやけど、ミカドに逆らう行為は出来へん。
御目通りを済ませ、俺と信五殿はため息をして御常御殿を後にして砂利道を歩いて行く。
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「なんか……最近の戦で周りが殺気立っていて嫌やな。」
「信五殿も思います？」
「親父殿が結構言うてる。大名がしゃしゃって来たのもあるんかもしれん。」
どの屋敷も大名の力が増大していけば自分らの生活が危険になるから皆が必死にミカドに知恵を与えているんやろう。どこかの大名を指名すれば今度は都が戦火に巻き込まれるのは分かっているから余計に。
信五殿と別れ九条の屋敷に着いた時やった。
.自分の部屋に入った時に妙なニオイを感じる。
今まで経験したことないこのニオイは気分を不快にさせる。
すぐに襖を開けると庭に見えたのは真っ黒い塊があった。
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瀬奈(プロフ) - ミムラ様コメントありがとうございます。月詠記はあのまま置くのが一番と思い置かせていただきます。こちらは新たに書き足して進めていきますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2020年6月13日 16時) (
レス) id: d70537b0b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミムラ(プロフ) - よかったです。世界観、書き表し方とても好きです。何度も読み返してます。消さないでほしいです。次も楽しみにしています。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: 39731cc6b3 (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - kkoyanagi様 コメントありがとうございます。前のお話をもっともっと向き合いたくて、まずは最初から書いてます。ゆっくりあのお話に繋げていきますのでお待ちくださいね。 (2020年3月9日 20時) (レス) id: d24f83f6f0 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 良かった、前のお話凄く気になっててどうなるんかなぁって心配でした。有り難うございますゆっくり待ちます。 (2020年3月9日 7時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年3月3日 18時
