冬の刻-7 ページ17
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それは傍にいたりょうも同じで黙って彼を見ている。
「この手紙を書いた主(あるじ)は政を自分の手で行い、昔の栄華を放った時代を取りもどしたかったんやと思います。確かに、よろしくない力で国を掌(つかさど)る事は簡単。ただ、それによって負の力が増して崩れた瞬間に都は何も残らなくなる……そんな状況下になれば武士の思惑通りになりますよ？って、お伝えしたんですよ……あなたのような使い人に。きっと説得されたから今のような状態なんやと思います。」
指が頬に触れた。
彼の手は冷たくなく人の肌と同じ体温が感じられる。
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「皇子にお伝えください。あなたの親族は魂を鬼に売る事無くこの環境を守ったという事を。」
小さく頷くと彼は俺の横を通って桜の花を見て小さい声で言う。
「沙羅双樹の花は都に咲いてます？」
「沙羅双樹ですか？うちの屋敷の庭にもありますし、ミカドのお庭にも。」
「あなたの庭に？」
「えぇ、代々うちの家と九条の菩提寺で沙羅双樹を育てているんですよね。何で育てているか分から
へんけど……」
「代々？」
「不思議ですよね。沙羅双を育てる事は昔からの習わしだと言い素直に従っているんですよ。」
「普通はせんの？」
りょうの疑問に俺は指を使って説明する。
「稀にあるけど、いつどこで戦火が来るか分からんと育てるのは菩提寺とかにお願いするんよ。お寺を燃やすことは仏様に阻喪を与えるもんやん。」
「沙羅双樹を植えてるお寺があるって聞かへんな。りゅうはどう思う？」
「１日も持たない花は好まれへんねん。」
質問の答えなのか、俺には分からへん。彼は地面に落ちた桜の花を拾い、目を閉じている姿を俺は黙って見ているしかできへんかった。
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瀬奈(プロフ) - ミムラ様コメントありがとうございます。月詠記はあのまま置くのが一番と思い置かせていただきます。こちらは新たに書き足して進めていきますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2020年6月13日 16時) (
レス) id: d70537b0b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミムラ(プロフ) - よかったです。世界観、書き表し方とても好きです。何度も読み返してます。消さないでほしいです。次も楽しみにしています。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: 39731cc6b3 (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - kkoyanagi様 コメントありがとうございます。前のお話をもっともっと向き合いたくて、まずは最初から書いてます。ゆっくりあのお話に繋げていきますのでお待ちくださいね。 (2020年3月9日 20時) (レス) id: d24f83f6f0 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 良かった、前のお話凄く気になっててどうなるんかなぁって心配でした。有り難うございますゆっくり待ちます。 (2020年3月9日 7時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年3月3日 18時
