冬の刻-2 ページ12
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勤めを終えてから公家数人が同じように迎えのない中歩いて戻るのがここ数か月の流れ。上からの申し送りでいつからか自分達で歩いて体力を付けろと言う謎のお達しのせいでほんまメンドクサイ毎日やって思う。
「忠義殿。」
中納言の叔父上に声をかけられたのは草履の準備をさせている時やった。
「奥間に」
急に言われた言葉に一緒にいた信五殿は「お、ええ話か？」なんて笑って言う。中納言の叔父上が言うという事は説教の確率が高いんやけど。俺は素直に返事をして皆と別れてから奥間に進んでいく。
子供のころから変わることないこの空間、何度も来ることに慣れたこの場所。
決まりを守るように正座をし頭を下げて「参りました。」と、一声かけると襖が開く。
頭を上げ目の前にいる１つ段上がりにいる人を見て俺は小さく笑った。
「暇そうですね。」
「まぁね。」
扇子を弄りながら言う彼は……ミカドの子、皇子様になる。
「俺だけ呼ぶと怪しまれるから止めた方がええですって。」
「なら、爺様と呼ぶ方がええ？」
「もっとうるさそうですよ、皇子様。」
誰も知らない。
俺が……皇子様の弟だという事を。
まぁ、お家の問題だから大っぴらに出来ないだけで、ミカドのお遊びでって言うのはよくある話。知ったのは子供のころで、皇子様と遊ぶなんて当たり前のように過ごしていたから未だになんて言うか遊び感覚で俺に声をかけてくる。身分ちゃうんだからあかんって言うてんのに。
上座に行き皇子様の傍に行くと懐に隠していた紙を俺に渡してきた。
「なんです？」
そう声をかけてから畳まれた手紙を出し俺は最初の言葉を見て「は？」なんて声を上げた。
「これ……」
「おじじ様宛の手紙。」
「なんで？」
「こないだ書庫で探し物していたら出てきたん。」
「ほんまに……鬼に頼んでいるじゃないですか。」
「そこなんだけど、丁寧なお断りだろ？」
おじじ様は3代前のミカドで母親側の父親だからやややっこしい家系図が必要になってくるレベル。内容を読んでいけば、その相手はおじじ様の考えを間違っているときっぱり言って二度と手紙を送らないようにと念を押している。
「本気で政(まつりごと)をしたかったんやな。」
俺の言葉に皇子様は頷いてから小さく笑って言う。
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瀬奈(プロフ) - ミムラ様コメントありがとうございます。月詠記はあのまま置くのが一番と思い置かせていただきます。こちらは新たに書き足して進めていきますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2020年6月13日 16時) (
レス) id: d70537b0b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミムラ(プロフ) - よかったです。世界観、書き表し方とても好きです。何度も読み返してます。消さないでほしいです。次も楽しみにしています。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: 39731cc6b3 (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - kkoyanagi様 コメントありがとうございます。前のお話をもっともっと向き合いたくて、まずは最初から書いてます。ゆっくりあのお話に繋げていきますのでお待ちくださいね。 (2020年3月9日 20時) (レス) id: d24f83f6f0 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 良かった、前のお話凄く気になっててどうなるんかなぁって心配でした。有り難うございますゆっくり待ちます。 (2020年3月9日 7時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年3月3日 18時
