冬の刻-１ ページ11
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鬼に魂を売って政権を手に入れようとした数代前のミカドの行動が笑い話になったのを聞いて「ありえへん。」なんて口にするとにんまり笑って言われた。
「忠義殿は真面目過ぎる。」
「は？真面目とかちゃうやん。」
「だから公家の男は固いって言われるんちゃうの？」
「信五殿はおかしいって思わん？アヤカシつかって政権取れたら気楽すぎてあほや。」
俺の毒吐きを「はいはい。」なんて言うて歩き始める。
ここ数年、戦が多くなってきたのは頂点にいる将軍がダメで新たな将軍になろうとしている無数の武士が争いを加速させているのを父上から聞いて自分たちのような公家には関係ない世界だと感じている。
粛々と生きていくミカドとその恩恵を受けて生きている公家にとって誰が将軍になろうがあまり関係ないから余計に。一時期は都が戦火に覆われた時は離れた国にそっくりな都を作って生活して生きていくのが公家の知恵なのかも知れへん。
「そう言えば能楽堂を改築したって話聞いたか？」
信五殿は思い出したように俺に言うて来た。
「前の将軍の趣味で作った能楽堂？」
「そうそう、あの能楽堂。最近、また改装しているって話やで。将軍の趣味でまた何かするって話だけどな。」
「金があるんですかね？」
「さぁ、俺らにはあまり関係ない世界やな。」
小さく笑って言うのはまるで武士は関係ないと言ってるように思える。無骨モノが多くて、失敗すれば命を落とすような世界は正直関わりたくないのがこの公家の空気やもんな。将軍も変われば趣も変わって急に派手なのを選ぶ人もあれば地味なのを選ぶのもおってわけが分からん。
「忠義殿は知ってるか？」
急に足を止めて妙心寺の門戸を眺めながら言うた。
「織田に頭の切れた綺麗な小姓が付いておるの。」
「そうなんです？」
「あの方は綺麗な男が好みだから忠義殿も気を付けた方がええ。」
「会う事もない人になぜ注意を？」
「ミカドに対面しに来ているって噂だしな。」
「なら御所には近寄りません。そもそも武士は好きになれへんし、許嫁がおる身でそれは勘弁です。」
俺の言葉に信五殿は笑って「そうやったな。」なんて言うし。
時期が来れば、一条家の娘を向かい入れる。
身は綺麗にしてなければならないと父上に何度教え込まれてやっと……自分相応の姫を手に入れるんやから失敗はしたくない。
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瀬奈(プロフ) - ミムラ様コメントありがとうございます。月詠記はあのまま置くのが一番と思い置かせていただきます。こちらは新たに書き足して進めていきますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2020年6月13日 16時) (
レス) id: d70537b0b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミムラ(プロフ) - よかったです。世界観、書き表し方とても好きです。何度も読み返してます。消さないでほしいです。次も楽しみにしています。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: 39731cc6b3 (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - kkoyanagi様 コメントありがとうございます。前のお話をもっともっと向き合いたくて、まずは最初から書いてます。ゆっくりあのお話に繋げていきますのでお待ちくださいね。 (2020年3月9日 20時) (レス) id: d24f83f6f0 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 良かった、前のお話凄く気になっててどうなるんかなぁって心配でした。有り難うございますゆっくり待ちます。 (2020年3月9日 7時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年3月3日 18時
