冬の刻-20 ページ30
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「ほんまこれ使って大丈夫なん?またしんどくならへん?」
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「それは僕も分からへん。」
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「えー、なら止めた方がええって。俺が手助けすればあんな生霊くらい始末できるやろ?」
「そうもいかへんで?負の気持ちが尋常やなくて僕ですら気づくのが遅れてね。りょう、忠義殿を下の小屋に連れて行くんや。」
「りゅう!」
「大丈夫、あの生霊をほんまに始末したら……一大事が起きてしまう。」
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何が起きている?
「行くで。」
りょうさんに手を引かれ道でない林の中に入っていくと黒い影が一気にこの周りを闇としようとして来る。生霊の姿は形なんてないからどうとでもなるってことをまざまざと感じた瞬間やった。
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「お前の敵は僕や!」
その声の方を見た瞬間……恐ろしいはずなのにりゅうさんの姿が綺麗やと感じてしまう自分がいる。
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小屋に入りすぐに戸を閉めればの中は真っ黒な闇。
微かに光をもたらしたのは胸元にある石だった。
「あんたが持っていたんや。」
りょうさんの言葉に俺は胸元を押さえると「それ。」って口にした。
「綺麗な石よな。」
「誰にも言わないようにって言われて。」
「そりゃそうや。りゅうが手に入れた中で一番きれいやもん。譲ってくれってどこかの住職が言うて来たくらいやから。あんたに渡したのは護身用にってやつかな。」
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そう口にしてからりょうさんは俺の手を握る。
「声出すな。完全に囲まれた。」
思ってもない言葉。
何が起きているのか
俺は分かるはずもない
そして、りょうさんの視線はじっと遠くを見ている
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何かが……
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建屋の扉が開きそこにいたのは……皇子の警備団やった。
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瀬奈(プロフ) - ミムラ様コメントありがとうございます。月詠記はあのまま置くのが一番と思い置かせていただきます。こちらは新たに書き足して進めていきますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2020年6月13日 16時) (レス) id: d70537b0b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミムラ(プロフ) - よかったです。世界観、書き表し方とても好きです。何度も読み返してます。消さないでほしいです。次も楽しみにしています。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: 39731cc6b3 (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - kkoyanagi様 コメントありがとうございます。前のお話をもっともっと向き合いたくて、まずは最初から書いてます。ゆっくりあのお話に繋げていきますのでお待ちくださいね。 (2020年3月9日 20時) (レス) id: d24f83f6f0 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 良かった、前のお話凄く気になっててどうなるんかなぁって心配でした。有り難うございますゆっくり待ちます。 (2020年3月9日 7時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀬奈 | 作成日時:2020年3月3日 18時