冬の刻-5 ページ15
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「なんや、九条のガキか。」
「りゅう、その言い方はあかんて。」
「気分悪いねん、そいつ。」
完全に嫌われているのは分かっているけど、なんですのその言い方？
人なはずなのに気配がないと感じたのは……真っ青な顔色のせい？いや……髪の毛の色……艶やかな黒髪でなく色が茶色に見えまじまじと見てしまう。
「あんたが……鬼？」
そう言うとりゅうと呼ばれている人は大笑いして頷く。
「あぁ、人はそう言うな。」
「角とか牙とか、蒔絵に書かれていたような肌は真っ青で毛むくじゃらとかじゃないの？」
「なんやそれ。」
「子供の時に見た書物に書かれてあるやん。悪い事すると連れて行かれて渡辺綱が鬼退治してって。」
「そうなん？そんな名前の奴は知らん。りょう、その馬はそこでなくて陽の当らない場所で休ませなきゃかわいそうや。」
彼はすぐに返事をして俺の馬を日陰に連れていく。
穏やかな感じやねん。
子供のころに『悪い事をしたら鬼に喰われる』なんて言い伝えを感じさせる人はここにはいない。どういう事や？
「九条のガキの用件は？」
考えたら俺はこの人に自分の身分も伝えてないのに分かっている。
どういう事？
「なんで俺がその……」
「風が教えてくれた。九条のガキがここに向かっている事を。」
「風が？はい？」
「木々も教えてくれた。何しに来たかまでは俺は分からんけど。」
「なにそれ。それに片割れってなに？」
俺は思わず言うと彼は俺の傍に来てにんまり笑って言う。
「俺はりゅうの半身。りゅうの左手から生まれた身体や。」
数秒の間
俺は絶叫した。
「あ？ひ、左手？左手が人間？アヤカシ？あれじゃなくて？式神とかじゃなくて左手？」
「お前うるさいガキやな。」
「え？冷静でいるってまず無理やって。」
驚いた俺は座り込むと彼は隣に同じようにしゃがみ込みにんまり笑って言う。
「俺の名前はりょうな。」
そんな簡単に言われても正直返事なんてできなくて黙ってりょうを見てからりゅうに視線を向けた時やった。寂しそうな目で俺を見てくる眼差しは……正直心臓によろしくない。
無言になっている俺の周りに花びらがはらはらと散ってくる。
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瀬奈(プロフ) - ミムラ様コメントありがとうございます。月詠記はあのまま置くのが一番と思い置かせていただきます。こちらは新たに書き足して進めていきますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2020年6月13日 16時) (
レス) id: d70537b0b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミムラ(プロフ) - よかったです。世界観、書き表し方とても好きです。何度も読み返してます。消さないでほしいです。次も楽しみにしています。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: 39731cc6b3 (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - kkoyanagi様 コメントありがとうございます。前のお話をもっともっと向き合いたくて、まずは最初から書いてます。ゆっくりあのお話に繋げていきますのでお待ちくださいね。 (2020年3月9日 20時) (レス) id: d24f83f6f0 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 良かった、前のお話凄く気になっててどうなるんかなぁって心配でした。有り難うございますゆっくり待ちます。 (2020年3月9日 7時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年3月3日 18時
