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「久しぶりって声をかけたら、思いっきり驚いた顔をしてさ、『どなたです？』だって。あんだけ酒を飲みながら話したのにその一言でドン引きしちゃってさ。」
「しますね……生田くん、隠し撮りしてきたの？」
「そりゃそうやん。ドン引きさせたこいつを忘れちゃいけないって思ってな。」
……敵に回したらあかん人やった、生田くん
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「ま、俺の担当さんじゃないからいいんだけど。」
「営業してるんですか？この人も？」
「総務って話。数字に苦手だって話していたのに経理？そう思ったけど、別人にしか見えなくて。」
「別人？」
「そう……大倉と一緒にいた人と同一人物に思えない。」
「そっくりさんか？」
信ちゃんの一言に生田くん「ちがうな。」なんて笑いながら言う。
「そっくりさんでなくて、ほら、あれ、なんだっけ？」
「ドッペルゲンガー？」
「そうそう、お兄さん凄いね。」
ケラケラ笑って言う生田くんはご機嫌さんだし、信ちゃんはこのノリについて行けない顔をしている。
「別人ですかね？」
「でも、名前は一緒なんだよね。丸山 隆平だったし。」
そう言って名刺を俺に渡してくれた。
「なんで、名刺？」
「担当ちゃんに奪ってきてもらった。」
名刺を見て
「隆平や。」
俺は素直に頷く
「それ、渡しておく。あと、俺の名刺で酔ってないとき連絡頂戴！」
にんまり笑って渡され俺は素直に受け取った。
「んじゃ、またね。」
「あ、ありがとう。」
頭を下げてすぐに信ちゃんは生田くんの名刺を見て数回頷く。
「いい会社に勤めてるやん。」
信ちゃんに言われ隆平の名刺をじっと見ると会社名を見て俺はポカーンとしてしまう。
「金融……これって大手よね？」
「どう見ても大手。」
「え？だって、俺と同じ専門で勤める事は出来るもん？」
「その辺りは知らんけど、うちの会社も中途は結構ええ人来るで。」
信ちゃんも上場企業だった。
でも、どうなってん？
俺は分からず貰った名刺をポケットに入れた。
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2019年12月3日 18時
