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「大倉？」
急に言われた声に俺は眉間に皺を寄せてしまった。
誰？
この空気感で声かけてくるって酔っ払いしかおらんやん！
「え……」
よくよく見たら、知ってる顔。
「生田くん？」
「そうよな、大倉よな？なんだー、こんなところで。」
ヘラヘラでご機嫌な生田くんが俺にタックルしてくるし。
酔っ払い怖い！
笑いながら攻撃されている俺って……信ちゃんと俺の間にサクっと入ってきた。
「ラーメン食った後ですって。」
「あぁ、ラーメンな。相変わらず好きだな、ラーメン王子。」
なんで王子？？でも、悪くないからそのままにしちゃえ。
「生田くんは仕事帰りの一杯ですか？」
「お、そうなんだよね。」
仲間さんが少し先で煙草を吸い始めた。ちょうど灰皿があるからいい場所って感じで盛り上がっている中、俺の近くにいたまんま。
「居酒屋で顔見なくなって何年過ぎた？」
「引っ越してから行けなくなって3年かな。」
「早いなぁ。」
いつもの笑い方をされてなんだか懐かしくなってしまう。2軒目の修行途中で引っ越したから店の名前も言う間もなく、常連になっていた居酒屋のオヤジさんにも挨拶出来ないまんまだったし。
「相変わらず？」
俺の質問に生田くんは頷いてから言う。
「相変わらず営業1本！」
「ストレスで体調壊さんでよ。」
「お、覚えているねぇ。お腹壊しの天才だからな。」
変わらない会話をしている時だった。生田くんがスマホを取り出して画像を急に俺に見せた。
「覚えているか？」
その画像にいる人を見て俺はゆっくり頷く。
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「コイツ……大倉の大事な人よな。」
頷くにも頷けない俺を見て生田くんは少しため息をしてから言う。
「店で一緒にいる時に何度も話しているから分かっているって。コイツな……俺の取引先にい
る。」
「え？」
「だから、コイツが俺の取引先にいるんだって。」
「なんで？だって……仕事は……」
「そう、店に来ていた時に話していたのは確かさ大倉と同じ料理人目指すとか話していただろ？」
ゆっくり頷く。
近くにいる信ちゃんは話を聞いているみたいで黙って俺と生田くんを見ている。
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2019年12月3日 18時
