49 ページ49
.
電卓を任せたいけど、今日のこいつはなんだか危なっかしくて任せる気にはならんかった。
計算をしながら数字を入力する横で肩肘をついてキタミツは言う。
「大倉さ。」
「なに？」
「今回の店長の動きどう思った？」
電子タバコを銜えたままキタミツを見ると納得いかない顔をしているのが俺と同じ思いなのかもしれ
ない。
「今までなら絶対しない行動だなって。」
「そう思うよな。確かにSNSでうちの店を紹介されたのは嬉しかったんだと思うけど。でも、チョコレ
ート言ったらうちの店はほぼ大倉が作っているのに相談もしないで動くのも妙だなって。」
「問い合わせが入ると、人ってテンション上がるんよね。」
テーブルに電子タバコを置いてから俺は電卓に数字を表示してからキタミツに見せる
「単純計算で俺が止めるまでにオーダーされていた数字の総トータルがこの数字。」
結構な金額をそこに打ち込んでから一度クリアしてから、俺は別の数字を入れてキタミツに見せる。
「この数字は人件費、ラッピング、材料費、諸経費、もろもろぬいた数字をこれ位と見積もって出した。値段はバラバラだけど、一律これが店の利益。そこにさっき見せた数字を加算すると……」
今まで考えもしない数字がそこに表示される。
「なに……この数字……桁が間違ってない？」
「いや、正解だって。キタミツだってレジ関係操作しているから分かるやん。俺らは値札に表示する
前の数字を知ってるけどその奥のからくりは知らへん。色々差っ引いた数字の中にあるのは店長の稼ぎ。自分の懐に入る数字が巨大になればなるほど……裏で勝手に動く。」
クリアボタンを押してから俺は小さく息を吐き出してから画面を見て数字を眺めていく。
1人で作るには限界の数字が異常に並んでいるのは分かっている。
毎日徹夜しても出来る数を越えている。
.
ほんまは断りたい。
でも、チーフも店長もかたくなに拒否をした
あの時と同じ状況や
「どうするん？作り置きとか無理だろ？」
「中島に手伝ってもらうかな。いつものケーキやその辺はチーフに頑張ってもらえばええし。」
「チーフが動いてくれる？」
「動かなかったら俺は知らんで。身体は1つしかないし。」
「それな。」
妙に納得したキタミツはスマホを見てから言う。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 130人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瀬奈 | 作成日時：2019年12月3日 18時
