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「大倉さん、これどうしたらいいです？」
自分のアイデアを使われて変化があったのは中島
もっともっと勉強したいっていい方向性になっていると思う
俺は？
言われた作業を淡々とこなしながら新たな発見をメモして、地道な作業を繰り返す
チーフに言われた言葉を噛みしめて
新人の気持ちでまた勉強をしていくしか先に進めない
この世界にいたい
ガキのように言い聞かせていく。
「大倉、お客さんだけどランチ終ってからがいいよね？」
キタミツに言われた声に俺は頷いた。
1人でランチ時間のレストランのデザート対応と午後に出すケースの準備をしている時やったから正直対応なんて無理やって思った。オーダー表を眺めながら俺は冷蔵庫からデザートプレートの準備をしながら言う。
「２時がええかな。1時に中島が出勤してから休憩やし。」
「分かった。」
返事が聞こえてから、印刷された紙と一緒にプレートを置いて作業途中のカスタードの準備をしていく。いつもなら下の子が作業するんやけど、年休が入って俺1人。
店入った時の1年目を思い出す。
先輩だらけの中で、学校で習う以上の事が分からない俺はむっちゃ怒鳴られていたことを。
……懐かしい。
そう思いながら初心者に戻って作業をずっと繰り返していた。
14時過ぎにキタミツから声をかけられ休憩室から販売の方に顔を出すとにっこり手を振る人……
俺は一度休憩室に戻り両頬を叩いてからもう一度出ると夢でなくマジやった。
「な、なんでここに？」
「忠義の働いている店を見たくてな。店長さんに挨拶をしたいから、土産持って来たんよな。」
むっちゃラフな会話してるけど、背後にいるのは見慣れたおじさん連中は申し訳ないですって顔をして俺を見てくるし、キタミツは何が起きたって顔をしているし、背後の厨房にいる中島とチーフまで見ているし。
とりあえず、背後のおじさん達を車で待機させてから、ドアをノックして店長室を開けて言う言葉は……
「すいません、オヤジが店に来て……挨拶したいって来たんでいいですか？」
固まる店長
授業参観ならぬ職場参観っておかしいやんか
数分2人っきりで挨拶を終えて店長が休憩室に案内してそそくさと退散した姿を見ると嫌な予感しかない。オヤジが何かとんでもないことを言うてなきゃええんやけど。
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2019年12月3日 18時
