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リックからイヤホンを出して聞こうとしたときに俺の手が止まる。
あちらも驚いた顔をして立ち止まっていて頭を下げられたからつられて俺も頭を下げた。見せのすぐ近くの道でこうも会うなんてどうなってんねん。
「お帰りですか?」
「あ……あぁ、そうです。」
「お店になかなか行けず今日やっと時間出来て来たんです。タイミングよかった、ほんまに。」
名刺をくれたパーフェクトそっくりさんはそう言うけど、俺としては会わずに帰省したかったんや
けど。
「そうだったんですか。俺、明日から休みで……タイミングよかったと思います。」
何度か頷きながら、『よかった』と言う社交辞令を言うとパーフェクトそっくりさんは驚いた顔で俺を見てきた。
「休みですか?こんな時期に?」
「遅い夏休みたいなもので。うちの店、休みそんなないんで。」
「そうなんですか。」
パーフェクトそっくりさんに妙な感心されていて、これも困ったもんやと思う。
「そう言えば……話しをしたいって前に話してましたよね。」
「えぇ。お休み前に申し訳ないですがお時間ありましたらお願いしたんですが。」
そう言いじっと俺を見てくるし。
これって断れへん空気ない?俺は小さく息を吐き出してから答えた。
「その先のカフェでいいですか?」
「助かります。」
深く頭を下げて言う言葉に俺は数回頷いてイヤホンを再びリックに戻して先の店に足を進めた。
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作者名:瀬奈 | 作成日時:2019年12月3日 18時