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「でもさ、店の菓子を実家土産にするってさすがよな。」
「東京駅でも買うけど、店のも持って帰るべきやなって思うて。そのチョコも入れといて。」
ケースに置かれたチョコを指さして言うとキタミツは笑って「はいはい。」なんて偉そうに返事を返してきた。
早番上がり、明日の朝には新幹線で実家に戻るから今日中に準備しなきゃあかんってわけで。荷物は控えめにしたいけど、久しぶりに帰るせいか荷物が増えていく。
「なんでこんなに買う？」
「色々挨拶しなきゃあかんねん。」
「親に？」
「親に挨拶してどうすんねん。オヤジの部下にお世話になってますーって挨拶。」
「部下？」
「あぁ、オヤジ社長してんねん。」
数秒の間の後にキタミツが「はい？」なんて言うと、中島が奥から出てきてケーキをケースに入れながらキタミツを見て冷静に爆弾ぶっ放した。
「北山さん知らないんです？大倉さんの実家って関西じゃ有名な会社じゃないですか。」
「なんで中島が知っている？」
「店長が教えてくれましたし。それに雑誌で見ましたよ、社長紹介で大倉さんの名前が載ってたし。」
「……はい？あのクソまじめな本を中島読んでるの？」
「たまたまです。」
そう答えてキッチンに戻っていくとキタミツは思いっきり真顔で言う。
「俺、知らない。」
「いや、お前は話を聞かないだけだって。」
「そんなに有名？」
「興味ないから分からへん。」
財布から商品代金を置くと紙袋を置いてキタミツは会計を始めるのを見ながら紙袋を手に取った。
実際は名の知れた大きな会社で……上の兄貴2名が会社に勤務して見事な跡継ぎは出来ているから三男坊の俺は自由があって好きな事させてもらっている。
会社とかマジに興味ないから説明もできないダメ息子。
店長に声をかけ、チーフに挨拶をしてキタミツに「来週。」って声をかけ店を出たのは夕方遅くなっていた。
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2019年12月3日 18時
