2-The present ページ2
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「ゲイ専門の詐欺ねぇ。」
メモを読みながら俺がそんな口調で言うとカウンターにいる兄ちゃんは笑って言う。
「かなり多い。最近減ったとか情報流れたのは嘘で、こないだもあってそいつは警察に被害届出した。」
「でもさ、俺らの方面で詐欺かけるって何？結婚詐欺とちゃうやん。」
素朴な疑問に兄ちゃんは苦笑いをして言う。
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「援助。」
「援助？」
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「生活困ったとかその手の援助。」
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「働け、そんなん。」
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「大倉みたいに顔が良くて仕事に困らない奴が言うのはOKだと思う。」
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「俺かて、苦労してます。」
そうきっぱり言うて見るけど、兄ちゃんは「またまた。」なんて言うし。
「俺はゲイでなくて女の子からちょいと拝借はしたよ？それ以上はしてへんもん。」
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「拝借したらあかんだろ。」
軽く頭を小突かれ顔を見上げると知ってる顔がそこにいる。
「おそい！」
「俺は暇じゃないねん。マスター、焼酎のソーダ割。」
そう声をかけるとすぐに返事を返して兄ちゃんは準備をしていく。すぐに出した煙草の箱を見て俺は1本拝借してすぐに吸うと苦笑いされた。
「ほんまに、そうやって懐はいるのうまいな。」
「良く言われる。」
すぐに置かれたグラスを手に取って軽く「乾杯」って言うて俺は半分飲みかけのハイボールを飲んでいく。満足そうな表情でグラスを置いてすぐに置かれたピーナツを食べながら俺に言う。
「最近仕事はどうや？」
「ぼちぼち。」
「ぼちぼちって。」
「スィーツの道は簡単やないってことよ。」
「甘いの苦手なタツがそっちに進んだのがあかんちゃうか？」
「苦手じゃないんだって、キャパが決まったるだけ。」
小さく笑って俺が言った時だった。
ドアが開いて
忘れることな声が聞こえて俺は視線が動かせへんかった。
「どうした？」
急に目の前に見えた顔に思わず「うわっ。」なんて声を上げたらまた小突かれた。
「人の顔見て驚くのなんやねん。」
「いきなり信ちゃんの顔が入ったらそうなるやんけ。ボーっとしただけだって。」
聞き覚えのある声
顔は？
薄暗くて見えない。
俺は煙草を吸い天井に息を吐き出してから灰皿に置いてグラスを手に取った。聞こえた声はどうやら俺の思い違いで、近くに座った男の姿を見て全然違って……小さくため息をしてしまう。
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2019年12月3日 18時
