4 ページ4
.
「最近、オヤジが出して飾ったんよ。」
「なに、心境の変化？」
.
「そこは僕も分からへん。」
「章大の鎧兜に食われている姿を見たかったんちゃうの。」
笑って言うと「はぁ？」って顔を真っ赤にしてきた
.
「これは着てるん。」
「兜に食われた子供やって。」
げらげら笑って言うと章大は少し考えてから言う
.
「それ言うなら、忠義かて……」
次の言葉が出ないのはその写真にいる俺は俺でない姿やからそうなる
「似合わないよな。」
「……お○め納豆の人みたいやけど。」
「はぁ？こんな美人捕まえて何言ってんの？」
「どこが？むっちゃお多福さんやん。」
お互い顔を見合わせて笑ってしまう
そこにいる章大は五歳の記念で鎧兜を無理やり着せられてむっとした表情
その隣にいる俺は……オカンがチョイスして着せてもらったピンクの着物を着ていた。
.
「相変わらず汚いし。」
「はい？」
「俺がいなくなったらさらに悪化してね？なんでシャツ床に置くねん。」
「洗う予定。」
奪い取って籠に投げつけているけど、それ……俺の部屋にあったゴミ箱だって言えない。
いつも帰ってくる時は章大がいない。
勝手に入ってもええんやけど、一応。
写真立てを手に取って俺はじっと見てしまう。
「これいつだっけ？。」
俺の言葉に章大はその写真を手に取って言う。
「中1、僕の部活がたまたま休みで当日したやん。」
「そうだっけ？」
「プレゼントのゲームカセットで文句言うてたやん。」
「あ、ああ！やて、俺が欲しいのはポケ○ン言うたのに妖怪の方って、どうやったら間違える
ん？」
「同じちゃうの？」
「ちゃうし！」
ベッドに座って枕元にある雑誌を捲っていく。
章大がこの手のファッション雑誌を読むってなんか……驚いた。
さすが高校生。
でもさ、その特集でまぁ、男の欲望そそる関係の特集まであってファッション誌でそこ追及してええもん？
「そのピアスええな。」
急に触れた指が少し冷えている気がする。
「これ？金貯めて買ったん、ブランドやったかな。」
「すげけな……それより……仕事……最近どうなん？」
隣に座って言う言葉に俺は「まぁまぁ。」としか言えない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 76人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瀬奈 | 作成日時：2019年5月22日 17時
