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残りたかった
社長に何度も言われても断っていた
やて、そんな大きな母体に俺が行ってどうなるん？
学歴かて通信で何とか卒業した奴を本社が欲しいってどう考えても捨て駒やって思うやん
経営が危うくなっていた所でのこの話
社長は意地でも俺を本社に送り込みたいってなるやん
最後は脅し
断れない状況かにされて、本社に行けば今度はバカにされまくっていく
腹立つやん……
お前らが知らない現場を偉そうに言うのって
だから必死になる
会社で言われる俺は性格の悪さで有名
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チャイムが聞こえる
昼休みが始まるのが分かる
みんなが一斉に動いて行く姿を見て俺はもう諦めて地下鉄に戻って行く
ほんまは会いたい
会えばそのことが本社に伝わって……怒られるのは目に見えている
戻れない
改めて俺は思う
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何日ぶりかに早く帰ってきた気がする。
鍵を開けるといつもある靴がなくて
少しだけ不思議な顔をしてしまう。
いつもならとっくの前に帰っている時間なのに、俺が珍しく早く帰ってきた？
いや、21時やし……
靴を脱いで自分の部屋に入ってからスマホを見るとやっぱり表示はなくて
侯隆の部屋に行くと俺は気づいた
何もないがらんとした部屋
家具もない
何もないその部屋
倉庫としている荷物置き場を見ても侯隆の荷物は何もなかった
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え……なにこれ？
キッチンに行けば食器も何もかもない
テーブルに置かれた手紙を俺は恐る恐る見ていく。
中から出て来た鍵と指輪
『好きな人がいます。その人を大切にしたいのでこの家を出ます。
やっぱり、俺には無理や。
女でもないし男でもない中途半端なお前を好きでいるなんて限界や
ごめん
元気で。』
頭の中が真っ白になるってこういう事なんやなって……
すれ違いがあかんなわけでなくて……
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俺自身
俺の問題
力が抜けた
拒否されたんやから
全てにおいて
涙すら出なかった
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2019年5月22日 17時
