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「大倉さん、髪の毛伸びていません？」
不意に触ってきて俺は眉間に皺を寄せて睨みつけた。
「濱田、お触り代1万。」
「ぼ、ぼったくり。」
横山くんが思いっきり拭いて床が惨劇なっているし、部屋だったら大惨事やで？
「髪の毛切って来いってことや。」
「ええ感じに伸びたと思うんやけどなぁ。」
髪の毛を弄りながら言うと濱田が口をとがらして「長いっすよ。」なんて言う。短髪が多い現場で少しだけ髪が長いとそんな言い方するからほんま困るは。
ガラケーが鳴って俺が出ると横山くんはにやにやしてくるし。
「なに？そのニヤリ顔。」
「いや、リーダーは大変やなって。」
「無理やり押し付けたクセに。現場見てきます。」
俺はそう言ってメットを手に取ってドアを開けた。セミの鳴き声が場内に響いて暑さが一気に増す。
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章ちゃんが実家を出て一人暮らしをしたのをオカンから聞いて、俺はメッセージだけした。
『なんで会えへんの？』
なんて来たけど、俺は距離を置かなきゃあかんって決めた
理由は簡単や
兄弟以上の感情を抱けば自滅するのは自分だって分かっていたから
何度か会おうって言われても断り続けた
俺が章ちゃんを避けているのを気が付いたのはオヤジで、助け舟を出してくれたのもオヤジ。
『仕事が忙しいのは分かった。なら、こうしてやり取りな。』
助かったとマジで思った
成人式の話も来たけど、式典の日は仕事。
オカンがどうしても写真を撮りたいって言うて仕方なくレンタルで写真は撮った。
章ちゃんの撮影したのをオカンが見せてくれ、見て頭がフリーズした
高校の時と表情なんて違う……
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当たり前だけど時間は経過している、それなりに経験をしているんや
顔なんて変わるに決まっている
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2019年5月22日 17時
