キセキ220 ページ15
翌朝
朝食を取り終えたあとの練習試合が始まるまでの間の時間
各々が自由に過ごす中で
唐突に
その時はやってきた
誰かが怒鳴り散らすような声
静かな宿舎の中には、良く通る声だった
何事かと
声の聞こえた体育館の方へ向かうと
そこには白凪と花宮と対峙するように
キセキの面々がいた
少し遠くには、見守るように霧崎第一の他のメンバーもいる
笠松「おい、お前ら何騒いで…」
A「お前らに、何がわかるの？」
白凪の声は決して大きくはないのに
よく通る声だった
A「全部が正しかったわけじゃない。
弊害もあって、妬みや憤りもぶつけられたかもしれない。
それでも
バスケを好きに、自由にやってこれたお前らに
俺の、何がわかるんだよ…!?」
さっきの怒鳴り声は白凪のものなのか
すぐにわかった
涙声で
いや、涙を流しながらそう言った白凪に
何をどう言えばいいのかわからない
口出しするべきではないか
そう判断した集まった人達は
状況を知ろうと、離れた所にいた霧崎第一のメンバーに近付いた
福井「何があったんだ？」
福井が代表するようにそう問いかければ
古橋がちらりとそちらへ視線を向けた
やや間を開けて
なんてことないように、こう言った
古橋「いろいろあったとは思いますが」
山崎「眼のこと、キセキの奴らが聞きに来たんですよ。
だからAが場所を変えようって、ここに移ったんすけど…そっちまで声聞こえたんすね」
原「最初は眼のことだったけど
脚とか
あとは霧崎第一への入学とか
そういうのも聞かれて
A怒っちゃったの。
1番の引き金は
やっぱり
Aは誰よりも優しくて
バスケが好きだったはずでしょ。
それなのに、どうして、何があってラフプレーなんて卑怯な手を使おうと思ってんですか
ってそんな、感じの言葉だったと思いますけどね」
何度も言ったはずだ
白凪は白凪の意思でここにいる
花宮が手を差し伸べてくれたから
自分は悪役だから
その花宮を、霧崎第一を否定することは
白凪の地雷だ
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作者名：琉月 | 作成日時：2018年8月24日 12時
