【黒○】その少年のキセキの物語【男主】 (ページ12)

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キセキ217 ページ12

白凪と山崎が部屋をあとにして数分

部屋にはとある人物が訪ねてきていた
鳴り響いたノックに全員が1度手を止め
それから目配せをしてから1番近くにいた古橋が扉を開ければ

そこには
今吉がいたものだから、花宮は盛大に表情を歪めた

今吉「邪魔してええ？」

花宮「邪魔するなら帰って下さい」

今吉「…A君のことでな、話があるんよ」

冷たくあしらったものの
思いの外真剣な声色で、それも白凪の名前を出されれば部屋へ招き入れるほかなかった

他には誰もいないのかと廊下を見渡すも
数人はこちらは窺ってはいたが、入ってくる様子はない

今吉「わししかおらんよ。
大人数やと、色々不都合やしな」

花宮「…康次郎、続きは任せた」

古橋「わかった」

適当に腰を下ろした今吉から若干距離を開けつつ
正面に座った花宮が手にしていたペットボトルを古橋へ預けた
原はマグカップと蜂蜜を手に部屋を出て行き、瀬戸も起きてなにやら資料に書き込みをしている

何をしているのか気にならなくはないが
そこへ自分が踏み込むのはお門違いだろうと、今吉は花宮へ向き直った

今吉「さっきなぁ、体育館でA君色々話してくれはったんや。
話してくれた、というのとは違うか…

A君の眼、よくないんか？」

花宮「それは、教える必要があることですか？
他校で、引退した身のアンタに」

今吉「隠す気無かったんやろ」

花宮「…良くはないですよ。
不安定な力だから、普段は使わせないようにしていた。

キセキの世代は知らなかったんですよ。
アイツが隠していた意味を。

使う必要もなかったかもしれない。
不安定で不確定な力だったかもしれない。

けど
1番はあいつ自身の負担が大きすぎるからです。

アイツはバスケを、やめざるを得なかったんです。
今も、昔も」

だから逃げではない
そう、花宮は言った