キセキ115 ページ38
A「痛い...」
立ち止まり
壁に寄りかかって座り込んだ白凪はそう呟く
弱々しい声は
誠凛に逆転されても勝気に笑って何者も寄せ付けなかった姿を
桐皇戦で青峰の攻撃を止め、怒鳴った姿を
想像させることはなく
儚かった
怪我と
そして、そうでない痛みが左手を走り
心を落ち着かせるように息を吐く白凪は、痛みを和らげようと手を撫でる
花宮「A」
雑音を掻き分け
その声だけが白凪の耳に届く
ゆっくりと顔を上げた白凪の瞳は
涙で濡れているけれど
いつも、皆の前では澄んでいる色が今は濁っていた
花宮はその表情に
眉を顰めると、白凪の前へしゃがみ込む
花宮「手、痛いか？」
A「少し...」
花宮「紫原と会ったのか？」
A「うん...」
大人しく返事をする白凪の頬を撫で
花宮は甘く優しい声で聞いた
花宮「試合、前半出るのやめるか？」
A「...出る」
その言葉は
泣きそうに紡がれ
けれど無理をしているのはひと目でわかる
花宮は立ち上がると
白凪へ手を差し出す
それを見た白凪が、おそるおそる手を伸ばそうとして
けれど、すぐに手を下ろすと俯いてしまう
花宮「A」
A「花宮先輩、ごめっ...ごめん。
頑張るから！ちゃんと、役に立てるように...俺、もう迷惑なんてかけないから」
花宮「A」
A「ねぇ、花宮せんぱっ...」
捨てられる寸前の
そんな必死な表情の白凪に、花宮の声はきっと聞こえていなかった
だから、花宮は彼の言葉を遮るように奥歯を噛み締めるとその右手を掴み引き上げる
縮まった距離に白凪の目が見開かれた
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琉月(プロフ) - 神無威さん» コメントありがとうございます！！リメイク作品ということで、思い入れもあるのでとても嬉しいです!! (2018年1月14日 23時) (
レス) id: 48d38a4c2a (このIDを非表示/違反報告)
神無威 - この小説凄く良いです。一言一言が心にしみます。これから白凪君がどうなっていくのか楽しみです！更新頑張って下さい！楽しみにしてます (2018年1月12日 23時) (レス) id: f87266c109 (このIDを非表示/違反報告)
琉月(プロフ) - レイスさん» わぁ、ありがとうございます！！ (2017年12月30日 21時) (レス) id: 48d38a4c2a (このIDを非表示/違反報告)
レイス - かっこいいです！夢主くん！ (2017年12月28日 20時) (レス) id: f87266c109 (このIDを非表示/違反報告)
琉月(プロフ) - *。赤司 妃奈 。*さん» コメントありがとうございます！読んで頂きありがとうございます。夢主かっこいいって言ってもらえて嬉しいですヽ(・∀・)ノ (2017年12月16日 20時) (レス) id: 48d38a4c2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琉月 | 作成日時：2017年11月17日 2時
