キセキ103 ページ26
A「────っ!!」
飛び起きた白凪は
乱れた呼吸を整え
ぐっと心臓を押さえる
頬を伝った汗が
服を握る手に落ち、俯いた
A「なん、なんだよ...」
夢で見るなんて初めてだった
桐皇戦を終えた途端これか
自嘲しながら白凪は時計を見て
まだ明け方なのを確認すると、カーテンを引いた
外はまだ暗く
ひんやりと寒い
手近なカーディガンを肩にかけて
白凪はキッチンへ向かうと電気ケトルのスイッチを押し込む
沸いたお湯を
粉末ココアを入れたマグカップに注ぎ
溶けたのを確認してリビングの椅子へ腰掛ける
A「はぁ...」
思い出したかのように
ズキズキと胸が痛み、白凪はそれを誤魔化す様にココアをあおった
誠凛戦も
過去の事を話した時も
何も無かった
けれど
桐皇戦を終えた途端に夢を見るなんて
傷心しているのだろうか
白凪はちまちまとココアを飲みながら
音量を抑えたテレビをつけて
ただそれを眺める
20分くらい経っただろうか
飲み終えたカップを手に立ち上がった白凪の手から
カップが滑り落ちた
ﾊﾟﾘﾝｯ
音を立て粉々になったカップを呆然と見つめ
白凪は視線を左手に移した
小刻みに震える左手は
その手首は、わずかに腫れて変色している
そういえばと
脚も痛いことを思い出して、白凪は脱力して椅子へ座り直した
飛び散った破片を片付けなくてはと思いながら見つめ
それでも動く気が出ずにため息をこぼす
古橋「A、おはよう。
何か割れる音がしたが...」
その時
ガチャリと扉を開いて入ってきた古橋
音が聞こえたということは起きていたのだろう
すぐに割れたカップに気付き
慣れた様子で棚から新聞紙を抜き取った
古橋「歩くと破片を踏むかもしれない。
俺がやるから、座っていろ」
A「...うん」
頷いた彼の表情は
古橋からは見えなかった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 186人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琉月(プロフ) - 神無威さん» コメントありがとうございます！！リメイク作品ということで、思い入れもあるのでとても嬉しいです!! (2018年1月14日 23時) (
レス) id: 48d38a4c2a (このIDを非表示/違反報告)
神無威 - この小説凄く良いです。一言一言が心にしみます。これから白凪君がどうなっていくのか楽しみです！更新頑張って下さい！楽しみにしてます (2018年1月12日 23時) (レス) id: f87266c109 (このIDを非表示/違反報告)
琉月(プロフ) - レイスさん» わぁ、ありがとうございます！！ (2017年12月30日 21時) (レス) id: 48d38a4c2a (このIDを非表示/違反報告)
レイス - かっこいいです！夢主くん！ (2017年12月28日 20時) (レス) id: f87266c109 (このIDを非表示/違反報告)
琉月(プロフ) - *。赤司 妃奈 。*さん» コメントありがとうございます！読んで頂きありがとうございます。夢主かっこいいって言ってもらえて嬉しいですヽ(・∀・)ノ (2017年12月16日 20時) (レス) id: 48d38a4c2a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：琉月 | 作成日時：2017年11月17日 2時
