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その実よくは知らない ページ10

熱がある紫城をバーに残すのはという話になり
今回は
草薙が紫城を連れ帰ることになった

店を閉めるまでは2階で休んでいていいと言われ
店を閉めてから紫城は草薙の車に乗り込んだ


「紫城」


「はい?」


「…薬、のことなんやけどな。
十束とも話したんや。

呑むの、続けるん?」


紫城が服用していた薬は
情報遮断

より正確に言えば
紫城のストレインとしての能力を抑えるものだ
それは
正式に手順を踏んで支給されたもの

代償に副作用が強いらしく
こうして体調を崩すことも少なくない
体質的にというよりも
紫城に刷り込まれた記憶力や情報収集をする本能が
薬に対抗しているためだという


紫城は吠舞羅に関わってから
その能力が頻繁に発動していた

その理由はおそらく王に関わったのが原因だろう
無意識に抑え込んでいた力を、隠す必要が無いという解放感から
自然とその頻度が増えただけ

また
居場所を見つけたのも大きい



窓に頭を預けた紫城が
通り過ぎる街灯を見つめた


「…呑まないと
いつ、炎が暴発するかわからないんです」


「炎?」


「草薙さん、見たことないですか?
俺が炎を使うと、ときおり暴発してたの。

十束が抑えてくれないといけないから
俺は炎を使うのに制限をしてたんです。


でも今それがないのは
薬のおかげです。

薬によって、一緒に体内で抑えきれていない炎を抑え込んでたんです。
まあ
俺の気持ちの持ちようでしてね。


情報が入らないこと
未来が見えなくて済むってだけで

気持ち的には落ち着ける」


ただそれだけ
本当は薬になんて頼らなくともいい

理由が欲しかった
なにかに縋る
それによって気持ちを落ち着かせる


言い訳だ


どこまでが建前か
どこまでが嘘か

紫城自身もわからなくなっていた


ただ1つ言えるのは


紫城自身
自分の力を好きになることはないということ

そして
その力を制御できる日はそう遠くないということ


炎の暴発を止めているのが薬ではなく
喧嘩であるのを悟られないために


「(この嘘だって長くは続かない)」


あまりにも嘘をつくのに慣れすぎた
それが少しだけ嫌だった

知られたくないこと
知ってほしいこと

紫城のことを紫城自身がよくは知らない
草薙や十束が気にかけてくれるけれど
たくさん色々なことを話すけれど


多分
誰も知らないのだ

紫城が抱える毒の正体を

拾いもの→←本当はずっと怖かった



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作者名:鍵宮 | 作成日時:2019年7月9日 19時

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