【K】戒告のインディペンデント【男主】 (ページ6)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:99,586 hit

名の知れた殺し屋ページ6

十束は草薙からの着信に応答すると
それをそのまま千歳へと手渡した

《助けられたいか？》

「い、いえ…自分の尻は自分で拭います…」

内容までは聞こえなかったが
周防が電話相手かと紫城は納得しつつ
千歳が自分で解決するという心意気は買った

しかしだ
相手が悪い

河川敷での1件でわかる通り
彼女はストレインだ

それも草薙いわく
裏社会では有名な殺し屋

通称、指切りマリアで名が通っているらしい

「指切りって、小指を絡めるやつ？」

「指切りげんまんってやつ。Aはやったことない？」

「ないね、やる相手もいなかったし」

「俺もないなぁ」

指切りの起源は穏やかではないし
げんまんというのが何を意味するか、知らない紫城ではない

約束かぁ、と紫城は呟いた

「じゃあ、千歳はその指切りマリアと何か約束をしたの？」

「え？」

「え？じゃねぇよ。
お前、指切りマリアに手を出したんじゃなくて
単純に何かを約束しただけじゃないのって話」

「約束…」

何かを考え込む千歳に
出羽がため息をついた

「とにかく、十束さんとAは逃げていいよ。
危ないしさ」

「そっか、わかった！」

「出羽も気をつけてね」

出羽の提案に
十束はすぐにその場を離れ、紫城もそれに続いた
薄情者と聞こえたが、今回ばかりは完全に千歳の自業自得だ
巻き添えにあってやるいわれはない

離れて数分
バーに戻っているとは思えない進み方に、紫城は首を傾げる

「十束、どこ向かってるの？」

「ちょっと探して…あ、いた」

路地の正面から歩いてくる人物に
紫城は警戒を強めた

十束は指切りマリア本人を探していたのだ

十束と紫城の姿を認めた彼女は
距離を詰めてすぐに十束の首を掴み壁に叩きつけた

「っ…指切りマリアさん」

「私のこと知っているのね。
私も知っているわ。赤の王の最初期のクランにも関わらず最弱の幹部、十束多々良。

千歳くんはどこ？
赤の王を敵に回したいわけじゃないの」

執拗に千歳を追いかけ回す彼女は
はたして
殺し屋としての本能か
それとも別の何かで動いているのか

それはわからないが
紫城は敵意を剥き出しに彼女を睨み付けると
十束の首を掴む彼女の手を掴んだ

「十束から手を離せ」

「A、平気だから」

「黙ってて。
…燃やされたくなきゃ、その手を離せよ」