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隠していた話を口にする ページ25

夜通し八田を探し回っているメンバーに
紫城は明け方になりやっと腰を上げると、特に何も言わずにバーを出て行った

その際に誰かと通話をしていたようであるが
それが誰かはわからず
十束や草薙も追いかけるような真似はしなかった


通話を終えた紫城は
まだ人通りも車通りも少ない道を歩いていく

やがて
天高くマンホールの蓋が待った歩道に足を止め、1つため息をついた


ボロボロの八田と伏見を見て
声を掛けなかったのは2人の会話を聞きたかったからかもしれない


「あのさ、猿比古。
俺は…俺はさ、お前のことだって大事な仲間の1人だと思ってた…から

その、なんつーかさ」


良くも悪くも八田は仲間思いで直情的で
純粋過ぎる


「俺のこと“だって”、“仲間の1人”だと、ね。



……うぜえ。

うぜえ、うぜえんだよ、美咲。
俺はもう2度とお前の“仲間”になることはない。

これが俺の答えだ。
誇りなんてくだらない。

俺は
周防尊を崇めない。



俺は“裏切り者”だぜ?

みぃさぁき?」


鋭く伏見を睨みあげる八田

伏見は歪んではいるけれど、その実純粋であるのだと紫城は思う
短く、早くなった呼吸を整え


「八田」


今の“仲間”の名前を紫城は呼んだ

弾かれたように振り返った2人に
紫城、いつも通りに笑う


「皆探してたよ」


「A…」


ほ、と息を吐いた八田に
紫城はその腰に巻かれたパーカーの裾に目を向けた

破れた裾
伏見の右足に巻かれた布

それに目を細め
八田の左頬の切り傷に絆創膏を貼り付けた


「帰ったら、ちゃんと治療しろよ。
十束にでも連絡して、無事伝えて」


「…?Aは帰らねぇのか?」


「俺、伏見に用あるの。
先に帰ってて、みんな心配してるんだからさ」


「お、おう…」


困惑気味に頷いた八田が離れ
端末で通話を始めたのを見て、やっと紫城は伏見に視線を向けた

それから小さく吹き出して
腕を組んだ


「ボロボロじゃん。
その足じゃ、歩くのも大変そうだね」


「うるせぇよ。
で、用ってなんだよ。説教じみた事言いてぇなら…」


「青の王様からの指示でね。
お前を送りながら話すよ。俺のことについて。

帰ったら
また同じ話しなきゃいけないのが面倒なんだけど」


「はぁ?」


とりあえずタクシー拾ってと指示を出し
先に伏見をタクシーの中に押し込むと、紫城は屯所までと、行き先を伝えた

それが裏切りとなるのか→←それは一体誰のための



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作者名:鍵宮 | 作成日時:2019年7月9日 19時

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