試された答え ページ21
《お久しぶりですね。
いえ、ちょうど良かったもので。
紫城くん。
端末に送った地図を見て下さい。伏見くんが絞り出したモグラの本拠地をピックアップしています。
そこから
“当たり”を教えて下さい》
1度耳から端末を離し
紫城は送られてきていた地図を開いた
ピンの刺された場所が数ヶ所
数秒その画面を見つめ、紫城はピンの1つをマークして返信した
「確率的にはそこが1番高いかな。
ちょっと、情報足りないけど」
《伏見くんと同じですね》
「…試したの？」
《ちょうど良かったと申し上げたはずですが。
それより
紫城くん、お時間はありますか？
直接お会いして話がしたいです。
できるなら
誰か保護者の同行の上で》
壁に背中を預け紫城は細く息を吐いた
できるなら、に否定は許されない
それは必ずの意だ
「(ほんと俺、何してるんだろう…)」
独りでは生きていけなかった子供
嘘つきで、信用していても信頼はできなかった我儘な子供
そう
いつだって、吠舞羅は紫城を助けてくれたというのに
いったい、紫城は何を返せたのだろう
「(俺が吠舞羅にいたって、きっと誰かを傷つけるだけだ)」
それでも離れたくない
だから話さなくては
《紫城くん？
難しいようであるなら日を改めますが》
「…ううん。
十束に連絡してみる。
でも、宗像さん。
1つだけお願いをしてもいいかな？
そうしたら俺、ちゃんと大人になるよ。
いつまでも子供でいられないから。
だから我儘を聞いてほしいんだ。
最初で最後の、アンタへの我儘」
いつまでも子供のままではいられない
いつか大人にならなければならないし
それに生じる責任もある
力には責任が生まれる
紫城はずっとそれを知っていた
《何を望みますか？》
「俺のこと、全部アンタから話して欲しい。
俺の力のこと
俺自身のこと。
知ってる限りのことを、アンタが話して」
《…できる範囲で、お受けしましょう》
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作者名：鍵宮 | 作成日時：2019年7月9日 19時
