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拾いもの ページ11

雨が降る路地裏
紫城は傘もささずに歩いており

その頬に残る傷跡をなぞりながら
舌を打つ


「(あんな雑魚に1発もらうとか、油断しすぎた。
草薙さんに怒られなきゃいいけ、ど…?)」


喧嘩がバレても草薙はそこまで口うるさく言わないかもしれない
迷惑だけは持ってくるなよと言うだけかも

それでも顔に傷を作ったのはいただけない

ため息をついた紫城は
ふと視界の端に映ったものに足を止めた


「人?」


面倒事は持ち帰れないのだが
つい見つけてしまったものは仕方ない

自分よりも年下だろうか
捨てられたゴミ袋に埋まるように倒れる少年に、紫城は歩み寄る

よく見ると
首や手足に傷が多い
殴られたのか青あざになっていたりしており
線が細い少年が好んで喧嘩をしているようには見えないし
そもそもこれが喧嘩での傷でないというのは

喧嘩慣れしていた紫城には分かる


「ねぇ、君大丈夫?」


線が細いといえど
それは紫城も変わらない

さすがに少年1人を抱えてはいけず
しゃがみこんでその肩を揺すってみたが、目を覚ます気配はない

ここまでして放って置くのも後味が悪いと
紫城がどうしようかと迷っていると、背後から聞き慣れた声が聞こえた


「A、何してるんだ?」


「あ、藤島。
ちょうど良かった」


「人か?」


紫城と同じく傘をさしていない藤島は
フードを被っているが、既にそれも雨よけの役目は果たしていない

藤島は紫城の後ろに見えた人影にそう首を傾げながら近付く


「うん。
目覚まさなくて。でも俺じゃあ運べないから困ってたの」


「バーに連れてくのか?」


「草薙さん怒るかなぁ?」


でもこのまま見捨ててはいけないので
藤島が少年を背負ったのを見て
紫城もその隣を歩く


「軽い」


「細いもんね、その子。
外国の人かな、日本人ぽくない」


「目を覚ましたらどうするんだ」


「それは…この子次第じゃん?」


帰る場所があるのか
どこにいたいのか

何もかもひとまずは少年が目を覚ましてからだ

人は初めて→←その実よくは知らない



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作者名:鍵宮 | 作成日時:2019年7月9日 19時

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