【K】戒告のインディペンデント【男主】 (ページ8)

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抑制薬ページ8

熱があるのかと問われ
紫城の頭はそこからぼんやりとしていた

それなのに
必要のない無駄な情報が入り続け
ズキズキと頭が痛む

もういいか、と紫城はポケットに手をねじ込むと
1枚の紙を十束へと差し出した
本人は机に伏せたままで、既に顔を上げる気力さえない

紙を受け取って
まず目に入ったのは、セプター4の標章だ

それが何を意味するか
わからない十束ではないし
横から覗き込んだ草薙が、思わず紫城へ視線を向けた

そこに書かれたのは
先日、紫城が交わした誓約書の受理証明

「紫城、これ…」

「その紙の通りです」

「そうやない！
紫城、来い。鎌本、すまんが店番任せるで。十束もこっち来ぃや」

息を呑んだ草薙の声が荒げられ
彼は2階へ来るよう紫城と十束へ声をかける

なんだと他のメンバーが疑問に思っている間に
紫城はふらりと立ち上がり、階段を上がっていく

その後ろを十束が追い
残されたメンバーにひらりと手を振って笑うので、特に誰も追及しようとは思わなかった

2階へやってきた3人は
そのままアンナと周防のいる部屋へと入る

「紫城、尊にもこの話はするで」

「…あは、裏切り者だって？」

自嘲気味に笑った紫城に
草薙が眉をひそめ、面倒くさがっている周防に紙を手渡す

「A。
別に、俺達は裏切り者だなんて思ってない。

これは、Aにとって必要なことだったんでしょ？」

紙には
細かく定期健診の結果や
紫城の能力について記載されている

初めてだった

彼らに自分の能力を細かく伝えるのは

けれどその紙に
紫城が宗像と個人的に交わした約束は記されていない
あれは、書類に明記しない約束だからだ

言うべきだろうか
そう悩みながら、紫城は結局それを口にすることは無かった

「A。
あの薬は、センターから支給されてたもの？」

「うん。
場合によるし程度もバラバラだけど、ある程度の情報遮断。

単純に
ストレインとしての力を抑える薬」

今それが手元にないのは
紫城が必要以上にそれを服用したせいだ

副作用であることはわかっていた
けれど
それを服用しなければ、まともに眠ることさえできなかった

今を乗り切れば
きっと、全て制御できるはずなのだと、根拠の無い言い訳だ