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どれくらい時間が経っただろう
｢くっそ…｣
懸命に鍵を開けようとするその手はかじかみ、指先は既に血色を失っている。
｢はぁ…｣
その様子を見守る女性も、元々白い顔からさらに血の気が引き、寒さに震えていた。
｢音、さん。大丈夫？｣
｢はい。私は…でもシェールズ様、手が…｣
彼の手の震えは限界をむかえ、鍵穴にピンを差し込む事もままならなかった。
｢鍵も冷たくって、先に手がやられるとは…はは。｣
｢誰か異変に気づいてくれれば…｣
｢…｣
為す術なし。まさにそんな状況で、リアンは経緯を思い出し始めた。
｢俺、知り合いを見かけた気がして機関室に入ったんだけど…もしそれが本当に俺の知り合いなら、気づいてくれたかもしれない。｣
｢その方も、この船に？｣
｢いや、船のクルーの制服着てたし、そんなわけないんだけど…なんとなく。｣
力なく笑うリアンに、女性は正座した自身の膝に目を向けたまま、ぽつりと語り出す。
｢…私は、恋人を探して｣
｢恋人？｣
突拍子もない単語が登場し、リアンの意識は一気に上昇する。
｢…実は、6年前に英国に渡った恋人を探して、英国までやってきたのです。｣
｢6年前？……失礼だけど、音さんいくつ？｣
｢今年で26です｣
｢まじかぁ…同じくらいかと思ってた｣
実年齢よりも若く見えた薄幸美人の彼女は、まさかの自分より6歳も年上の大人だった。
｢…その恋人は、なぜ英国へ？｣
｢…彼は
彼は、軍人でした。｣
｢徴兵で英国に遠征ってこと？…ですか？｣
歳上だと判明した彼女に、思わず敬語で言い直す。
｢そのままで構いませんよ。
徴兵などではなく、彼単身で英国へ出向したのです
…当時彼は、日本政府の捜査官として英国でとある貴族の援助を受け、活動していました。｣
｢…｣
女性＿音の口から語られたあまりに予想外の話に、リアンは言葉を失う
｢…彼はよく私に文を送ってくださいました。それが急に途絶えて、私は彼が心配で英国に…
なんの手がかりも無いまま数年が経ち、先日突然私宛てに英語の文がとどいたのです。｣
｢…その、手紙にはなんて？｣
＿＿
＿＿
｢…彼に会いたければ、この船に乗れと｣
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蒼(プロフ) - セレナさん» ありがとうございます。楽しみにしてくださっている方々のコメントがすごく励みになります。これからもお楽しみに！ (2021年7月7日 19時) (
レス) id: 91491d588c (このIDを非表示/違反報告)
セレナ - とっても面白いです！次回が楽しみです！ (2021年7月6日 23時) (レス) id: edca8fa170 (このIDを非表示/違反報告)
桜澤(プロフ) - 蒼さん» 今後も楽しみにしてます！ (2021年7月4日 0時) (レス) id: 20b9b01cf5 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - Ｒ!Ｎさん» ありがとうございます。これからも楽しんでいただけるようなお話を書けるように頑張ります！ (2021年7月3日 23時) (レス) id: 91491d588c (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ!Ｎ(プロフ) - 出てくるキャラクターやお話の全てが面白く、一気読みしました！！続きが楽しみです！応援してます！！ (2021年7月3日 21時) (レス) id: 5067a2983b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 | 作成日時：2021年5月8日 15時
