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｢エトワール教授は、恐らくリアンと同じくシアンの香りを感知出来る人だったんだ。｣
｢…｣
｢私の言っている意味が、分からないようだね｣
シアンの香りを知覚できる教授が、匂いの濃い速乾性のインクを死の間際に散乱させた理由は
｢…彼は消したかった。誰にも気づかせたくなかったんだ。部屋に充満する、シアンの香りを。｣
自身を死に追いやった犯人の名を書くことも出来ただろう。だが、そうしなかった。
未来ある優秀な研究者の道を、閉ざす訳にはいかなかった。
しかし、その願いが天に聞き届けられることは無かった。
小さく、それでいて強く輝く星は、
''彼''の瞳から流れるものの中で、確かに光っていた。
＿＿＿
｢＿＿ではブラーエの真意は...｣
｢はい。彼はケプラーの分析の才能をはなから認めていました。だからこそ彼を師弟に迎えたんです。｣
｢.....それぞれが天才であるがゆえの亀裂、ということか。｣
人は本能的に相手を疑いの目で相手を見る。他人の己に対する真心は、影の中に居続けるまま。
｢立場上の対立はあったにしろ、彼らは互いの才能を認めていた。同じ志を持つ研究者として。｣
しかしブラーエは、弟子であるケプラーの陰謀により毒殺。
｢若さ故、なのか｣
｢それもあるかもしれません。｣
でも、
｢恐らく当時の天文学会にとって、彼らはまさに星だった。
ブラーエの死は、紛うことなき金星の消滅だったと私は考えています。｣
｢……そろそろ、ホームズが真相を見抜く頃かな｣
そう言うと、2人は立ち上がり部屋を後にした。
＿＿＿
｢…エトワール教授｣
｢あぁ、クレース君。聞いたよ、またモリアーティ教授のテストで満点を取ったと。素晴らしいね｣
｢ありがとうございます…｣
Aの視線は、エトワール教授の手の中にある封筒に向けられる。
｢…あぁ、これかね。
実は、''将来の''共同研究者を見つけてね。これは彼を、学術会の研究者として迎える為の推薦書だよ｣
きっと、天文学会を照らす太陽となるだろう
＿＿＿
ウィリアムの手には、先程ヤードの1人から受け取った、血塗れた封筒が握られていた。
＿
眩燿の星編 終
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蒼(プロフ) - セレナさん» ありがとうございます。楽しみにしてくださっている方々のコメントがすごく励みになります。これからもお楽しみに！ (2021年7月7日 19時) (
レス) id: 91491d588c (このIDを非表示/違反報告)
セレナ - とっても面白いです！次回が楽しみです！ (2021年7月6日 23時) (レス) id: edca8fa170 (このIDを非表示/違反報告)
桜澤(プロフ) - 蒼さん» 今後も楽しみにしてます！ (2021年7月4日 0時) (レス) id: 20b9b01cf5 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - Ｒ!Ｎさん» ありがとうございます。これからも楽しんでいただけるようなお話を書けるように頑張ります！ (2021年7月3日 23時) (レス) id: 91491d588c (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ!Ｎ(プロフ) - 出てくるキャラクターやお話の全てが面白く、一気読みしました！！続きが楽しみです！応援してます！！ (2021年7月3日 21時) (レス) id: 5067a2983b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 | 作成日時：2021年5月8日 15時
