今も前もその前も。【wrwrd＋α 二次創作】 (ページ2)

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「貴女、何の為に此処に居るのかしら？貴女、呪われているのでしょう？数ヵ月前の戦争で苦戦したのは貴女のせいではなくって？」

彼奴、本当にずる賢い女だ。

この国の"一部"の地方…その名をドレッキスという。

この国の最上層部の者達が住まう貴族街。

其処では白い毛と赤い瞳は悪魔の象徴とされている。

生物の種類関係無く、たとえ王族のものだとしても、生け贄として神に捧げられてきた。

勿論、他の処では生け贄を捧げることなど何百年と無い。其をしようとするならば犯罪である。

この軍事施設があるこの街はドレッキスより一つ下の街、ヘダール。

無論、少女のような者でも安心して暮らすことの出来る街。

あまり貴族街と関わりがなく、悪魔や呪いと言った風習が貴族街から入ってこなかった。だから呪われている、とも周りから言われなかったのだ。

しかしこの女は其を知った上で少女に問いている。

[何のことでしょう？]と、惚ければ教養の無さを馬鹿にされるだろう。

[私のせいでは有りません]と、否定をすれば不敬罪で捕らわれるだろう。

[確かに私が居なければ苦戦しなかったかもしれません]と、肯定をすれば悪魔の象徴と理由をつけて虐めるだろう。

其を計算した上で、彼女は問いている。

少女は困っていた。

何を答えても自分の不利益にしかならないからだ。

少女はこの女より少し、頭の回転が早い。

だから無言だ。

何も言わないという選択をとった。

少女は本当に賢い。

その賢さ故に、隣の狼の視線も気付かない振りをする。

気付かない振りをするからこそ、加速していくことなど、わかる筈もない。

本当に哀れな少女だ。