なぜか懐かれた【羽生結弦】 (ページ10)

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ゆづside

土下座するほどそんなに好きなの？
でも楽しまれているのなら良かった

「あ、空になっちゃった。」

真央ちゃんがボソッとそう言った

『俺が買いに行ってこようか？』

「でも今出たらファンと会うよ」

『変装してくから大丈夫だよ』

「そう？ならお水買ってきて欲しいな！」

『はーい』

ドリンクコーナーを通らないと自動販売機に着かない
だけどドリンクコーナーには俺のファンらしき人が2人

バレないようにそっと彼女達の後ろを歩いた

『………え？』

見覚えのあるブレスレット

「私はもう帰るけど、アンタ1人で帰れる？」

付き添いなのだろうか

「楓ちゃんが明日仕事あるもんね…、多分1人で帰れる。」

「多分って。アンタの多分が1番怖い！」

「大丈夫だって！！きっと！多分！うん！！」

「説得力無さすぎだわ！！」

『うぅ、正直不安でしかない。でも私にはゆづがいるから大丈夫だよ！こんなとこで死んでられない！！』

「あんな死にたがりだったアンタが…ここまで生きてるなんて驚きだよ。羽生結弦様様だね」

友達は感動したのか泣いてしまった
あのブレスレットを持っていて死にたがりの少女は俺の周りで1人しかいなかった

『……美琴…？』

「！え？え！？どうしてここに！？」

美琴だ。顔つきは変わってないけど、大人っぽくなっていた。

「日本人？美琴の知ってる人？？」

「日本人だよ、私の知ってる人！」

「なら安心だわ！！美琴をお願いします！！」

「え？ちょ、楓ちゃん！？！？」

楓ちゃんって子がキャリーケース持って出口に向かってしまった

『美琴、来てたの？』

「へ？はは、まぁね。」

『さっきの子は？随分親しい雰囲気みたいだけど』

「あー、中学からのお友達だよ。1番病んでた時にずっと支えてくれてた子なの」

『そーだったんだ』

中学のときが苦しかったんだ

「にしてもゆづ、頑張ったね。」

ナデナデと頭を撫でてくれた

『大変だったよ』

東日本大震災が来て、家は崩壊するし。
そのときが潮時かとも考えていた

「傍にいてあげられなくてごめんね？」

『そんなのお互い様だよ』

俺も美琴の苦しいときに傍にいてあげられなかった

『あ、俺水買いに来たんだった。』

「引き止めちゃってごめん」

『俺から話しかけたんだから謝らなくて良いよ』

自動販売機に手を伸ばし水を買った