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秋の終わり 黄橙 ページ13

蘭芽さんリクエスト

学パロ。年齢操作有。

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橙side





冬の匂いを感じる朝。

いつも通り人の少ない廊下を歩いて保健室に向かう。

空気が冷たいから普段より歩くのも遅い。

保健室はどこの学校でもあまり人が行かない所にあるからより寒い。

窓の外の木は赤や黄に染まっていて、綺麗だなと一人思う。



「あれ、」



ぽやっと外を見ていると、木々の間にぽつりと置かれたベンチに珍しく人が座っているのを見つけた。


朝早くから珍しいなぁと思いつつ
寒そうだと思うのが半分ずつ。


保健室に着いていつもの椅子に座る。

建物の中だから外よりは温かい。


椅子の背に引っ掛けてある膝掛けを持って保健室から外に直接出入り出来る戸を開けた。



まあ、保健室の先生は生徒の体調管理も仕事やし、当たり前のことや。



と勝手に言い訳してベンチの方に行く。



ベンチに近付けば栗色の頭が動いてこちらを向いた。



そしてふわりと微笑んで「先生、」と呼ぶ。


手元を見れば文庫本があって読書中だったのかと納得した。



「おはよう、朝早いな」

「ちょっと早く目が覚めてしまって」



ベンチに座る彼の前に立っていれば、風で揺れる髪から匂いが伝わって来そうな距離に、少し動揺する。



「寒いやろ、これ使ってや」



ありがとうございます、と言って指に触れた指が少し熱いような、気の所為だけど。



渡した膝掛けは彼の膝の上に置かれて
いつもより綺麗に見える。



「じゃあ、俺戻るから。好きな時に返してくれたらええよ」

「じゃあ昼に」



特徴的な唇が動いて言葉を紡ぐ。

それを聞いてまた来た道を戻った。



あくまで相手にどう思ってるのか伝わらないようにする。

それが俺に出来ることだと思うから。

出来てるかどうかは分からないけれど。





保健室に入って椅子に座り、はあっと息をつく。

きっと今日もいつも通りに出来るはず。

そのまま手付かずの資料に手を付けた。


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(プロフ) - 蘭芽さん» 返信遅くなりましたが、コメントありがとうございます。分かりやすくガツガツ行くようなイメージではなかったのでこのような作品になりました。そう言ってもらえて嬉しいです。 (2018年12月30日 16時) (レス) id: ea67087d27 (このIDを非表示/違反報告)
蘭芽(プロフ) - ありがとうございました。両片思いなのが良いですね。イチャイチャラブラブすんじゃなくて落ち着いた恋ってばどさんにピッタリだと思います。 (2018年12月8日 16時) (レス) id: 568cceb099 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はるさん» リクエストありがとうございます。人気CPですねー、考えてみます。 (2018年10月21日 22時) (レス) id: 2f1a09272c (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - リクエスト失礼します。青×緑でリアル設定のお話が見たいです。よろしくお願いします。 (2018年10月21日 21時) (レス) id: d6652bb1f2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - いちご18さん» リクエストありがとうございます。考えてみますね。 (2018年10月20日 19時) (レス) id: 2f1a09272c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年9月30日 17時

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