【男主】第7の最強と蝶【新門紅丸】

少年、四日 ページ5

僕は歩いた。

足に何かが刺さって血が流れてる気がするが、痛みはない。

歩ける。



やっとの事で山をおりた。

降りている途中、明かりが見えた。

そこに行けば、きっと…

あっちの方だ。

そう思うのに、もう足が動かない。

地面に膝を着く。

立っていられない。

目はあるのに、前が見えない。

痛みを感じないのに、頭が痛い。

耳がきこえない。

息がしずらい。



死ぬんだ



せっかく外に出れたのに、これじゃあ鳥も海も見れない。

それにお母さんの笑顔も…

お母さん…？

そういえば、お母さんってどこいったっけ。

耳が聞こえないはずなのに、お母さんの声だけ響いている。

おいでって手招きしてる。

なんでお母さんが見えてるんだ。

でも、僕はもう歩けない。

そっちに行けない。

急にお母さんの顔から笑みが消えた。

｢やっぱりあなたはダメだった。｣

え、

｢なぜ伝道者様の言うことを聞けなかったの？あなたのせいで私は…｣

何言ってるんだ。



｢そんな顔になってしまって…
あなたは




バケモノよ。｣


お母さんがどんどん遠くなる。

バケモノ？

なんで…

行かないで…



そこで何も見えなくなった。

動けなくなった。

真っ暗闇に、僕だけが取り残された。

テレビで見てたヒーローも、いつか夢見た優しくて誰にも好かれる主人公も、バケモノの…僕のことは助けてくれなかった。



｢…｣

眩しい。

目が焼けそうだ。

僕はあれから気を失った。

起きると、日が出ていた。

これが太陽…焼けそうだ。

僕はお母さんの燃えた姿を思い出した。

僕もいつかあぁなるのか。

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