【男主】第7の最強と蝶【新門紅丸】 (ページ15)

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蝶が5頭ページ15

縁側に出て柱にもたれかかって座る。

今日も星がきれいだ。

俺が悩んでいても、誰かが焔ビトになっても、雲に隠れてここから見えなくても、星は光り続ける。

最初に星を見た時もそうだった。

俺の口が裂けても、俺の目が一つなくなっても、お母さんが燃えても、あの時星は光っていた。

誰かが死んでも、また地球が燃えても、たくさんある星が光らなくなることはないと考えると、少し気持ちが楽になる気がする。

今夜は風が冷たい。

薄着で出てきちゃダメだったかな。

昼のポカポカした感じも好きだけど、夜も好き。

浅草の町が眠ることはないけど、夜は少し静か。

今日はほんとに冷えるな。

だんだん体が冷えていく感じ。

蝶をかたどった青い炎を出す。

『あんまりあったかくはならないね。夜空に溶けちゃいそう。』

夜空を飛ぶ蝶に手を伸ばす。

すると突然何か温かいものに包まれた。

『紅、おかえり。』

後ろを見たら紅がいた。

俺の肩にかかっているものは毛布で、きっと紅がわざわざとってきてくれたのだろう。

あのめんどくさがり屋の紅が。

紅丸「夜空に溶けちゃいそう、じゃねぇんだよ。お前のほうが溶けそうだわ。」

紅が俺の髪をすきながら言った。

『消えないよ、紅がいる限り。…ごめんね紅。俺がもっとちゃんとしてたら、大隊長会議にも…』

紅丸「ちゃんとってなんだ。」

『え、』

紅丸「第七にちゃんとした奴なんていねえよ。ここは荒くれ者どもの集まりでできてる。だからいいんだろ。」

そうじゃない、俺は欠陥ばかりなんだ。

紅丸「なぁ黒、さっきは悪かった。俺たちは、俺は、お前に傷ついてほしくないんだ。皇国の奴らは俺たちのことをよく思ってないんだ。お前ひとり皇国に行かせたらあの野郎どもがどんな危害を加えてくるか…俺は俺の周りが笑って過ごせればそれでいいんだ。その周りの中にはもちろんお前もいる。お前は俺の世界で俺と一緒に中心に立ってるんだ。お前には傷ついてほしくない、失いたくねぇんだよ。」

紅は俺に体重をかける。

それを抱きしめて俺は紅の頭をなでた。

『紅、今日はよくしゃべるね。ねぇ、俺夜は冷えるんだ。今日も一緒に寝てくれない？』

紅の体温が伝わってくる。

規則正しい心臓の音を聞くとだんだん眠くなってくる。

紅丸「ちゃんと連れてってやるから寝ていいぞ。朝までちゃんとちゃんと一緒にいてやるよ。」

『うん』

おちていく瞼の隙間からもうすでに原型をとどめていない青い炎が朽ちていくのが見えた。