【男主】第7の最強と蝶【新門紅丸】 (ページ2)

今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:24,609 hit

少年、一日ページ2

『やめて…お母さん…やめて…痛いよ…』

もうずっと外に出ていない。

足から伸びる紐はベットの足に固定されていて
僕が動ける範囲は限られている。

なんでこんなことになってるか、理由はわかってる。

僕が悪い事をしたから、お母さんが怒ったんだ。

何をしたかはもう覚えていない。

僕のお母さんは厳しい人だった。
でも分かってる。

それは僕のためだって。

だってお母さんは毎日毎日僕の事で悩んでるから。

いつもいつも、伝道者様に僕が早く良くなるように祈ってくれてる。

お母さんは僕の事を思ってくれる、優しい人。
僕をベッドに繋いでいるのも、僕がいい子になるように…

痛いけど、我慢しないと。

お母さんだってきっと辛いんだ。

僕は外に行ったことがない。

昔から体も弱かったし、気がついたらずっと部屋にいた。

俺は外のことを、隣の部屋のいつもつけっぱなしになっているテレビからでしか得られなかった。

今日は台の上に2人組が立たされている。

台の上に立っている1人がもう1人の頭を叩いた。

すると他のたくさんの人間が笑う。

…こうすれば、お母さんは笑ってくれるのか…？

でも、笑うってどうすればいいんだ…？

今日もお母さんは伝道者様に祈りを捧げに行っている。

お母さんが帰ってくるまでに練習しておこう。

母｢ただいま黒夜。｣

お母さんだ。

帰ってきた。

いつもより機嫌がいい気がする…

何かあったのかな…

母｢黒夜！伝道者様が、あなたに救いの手を差し伸べてくれたわ！｣

『救いの…手？』

母｢そうよ！あなたもやっと外に出られるのよ！｣

外…？

『僕…鳥がみたい！海も見たい！』

母｢そうね…きっと見れるわ！伝道者様がそう仰ったのだから！｣

『うん！まずは何をすればいいの？』

やっとお母さんも楽になる。

それに、お母さんと一緒に外に出れる！

お母さんは綺麗に笑っている。

母｢ええ！まずはね……………………口を裂くのよ！｣

…え？

『く…ち…？』

母｢そうよ！痛いだろうけど大丈夫って伝道者様は言っていたわ！｣

口を…裂く。

痛いのは、やだ。

…けど…

『それで外を出れるなら…他には何をすればいいの？僕、何でもする！』

母｢ほんとう？ありがとう、黒夜！あとはね………目をえぐるの。｣

目…

無意識に自分の目を手で覆った。