好きになってしまったから (ページ8)

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最終回「大好きな君、新しいページ」ページ8

放課後になり僕は重い足を何とか動かして体育館裏に行く。
覚悟なんてものはない。
でも、笑顔で送り出しやりたい。
もしかしたら泣いちゃうかもしれない。
けど、大好きな歩夢には幸せになってほしい。
祝ってやりたい。
『歩夢。』
『きたよ。お待たせ。』
心臓がバクバク言ってる。
今にも相手に聞こえてしまうんじゃないかと思うほど。
「A。あのさ、嫌いになってくれてもいい。」
え？なんで嫌いになるの？
『うん。』
だって付き合い始めただけでしょ？
なんで嫌いになるの？
僕、そんなに歩夢のこと縛ってたかな？
「あのねっ！私！」
なんだろう。歩夢はまだ口ごもっている。
そして、意を決したように口を開く。
「Aのことが好きなの！」
？
へ？
いま、なんて。
僕が好き？
なんで。
待って。
歩夢が、僕のこと好きって言った？
「ごめんね。キモいよね。ふって。そしたらもう何もしないから。
ってAなんで泣いてるの？」

え？
あれ？ほんとだ。
頬をぬぐった手が濡れてる。
『ごめん。なんで、僕。僕だってずっと好きだった。』
うまく言葉にできない。
告白したいと思わなかったから。
片思いじゃなかった？
『嘘じゃない？』
ほんとだ。夢じゃない。
「ほんと？好きだったってほんと？両想い？」
『うん！好き！僕、歩夢が好きだよっ。』
嬉しかった。
『歩夢も、泣いてるじゃんっ』
もう二人とも大泣きだ。

『ありがとう。僕なんかを好きで。
でも、告白されたんじゃないの？』
やっと二人とも泣き止んだ。
「あぁ、断ったよ。私はAが好きだったからね。」
『なんか、恥ずかしい。面と向かって言われると。』
「ふふっ。何回も言ってあげようか？」
『やめてくれ。』
はぁ。

これで、僕の片思いのお話は終わり。
いや、もともとなかったのかもしれない。
片思いではなかった。
そうだ。両片思いの話が終わった。

次は、両想いのお話。
また、新しいページが紡がれる。
新しい章が始まる。

これからの僕らの新しい話が紡がれていく。
女同士、困難もあるだろう。
でも、二人で乗り越えていこう。

これからの物語はどんなものだろう。
新しいページに、僕らの世界が記される。

　ＥＮＤ