好きになってしまったから (ページ5)

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第四話「知らせ」ページ5

『おはよー。』
僕の挨拶にこたえるものはいない。
歩夢が、居なかった。
まぁ、どうせ委員会かなんかだろう。
準備を済ませていると誰か女子の声が聞こえた。
「ねぇ？聞いた？歩夢ちゃん○○君に告られたんだって！」
え？
びっくりした。でも僕にはその子たちの会話にびっくりした。
「そんな顔良くないのにね。○○君騙されてかわいそう。」
は？
あいつら、歩夢とよく一緒にいたじゃん。
あいつが性格いいのわかってるでしょ。
なんで、あんなこと言えるの？

変な噂を聞き、落ち着かないまま準備を終わらせた。
後で、どう答えたのか歩夢に聞いておこう。
あいつらはどうしよう。
考えながら、席に着くと先生に声をかけられる。

書類を職員室に出してきてほしいと頼まれた。
書類を抱え職員室に向かっていると廊下で走っていた歩夢とぶつかる。
「あっすいません！って、Aじゃん。」
廊下には書類が散らばる。
なんか、うまく答えられなかった。
歩夢が付き合っていたら、本当に告白されていたら。
好きな人が付き合い始めた、告白されたそんな噂を聞いた時、どう答えればいいのだろう。
「A？どうしたの？大丈夫？」
あんなに好きだった歩夢の声が今は聞きたくない。
付き合い始めたなんて歩夢の声から聴きたくなかった。
『ごめん。』
「え？」
『ちょっと、これおいてくるから、後で。』
素早く書類をまとめもとのように戻すと僕は足早にかけていった。
逃げたんだ。
歩夢から何も聞きたくなかった。
やっぱり僕は弱虫で臆病で怖がりなんだ。

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