【男主】黒名蘭世、エトランゼ。【ブルーロック】 (ページ2)

今日:4 hit、昨日:13 hit、合計:2,278 hit

※※※※ ページ2

「えろい、えろい」

ギリ聞こえるくらいの小さな声で呟いて、黒名はそのまま屈み込んだ。

「んんっ、う”……だ、めだって黒名ぁ……ッ！」

「顔隠すな、見せて」

だらしなくたてていた俺のそれを彼は優しく握り、上下にその手を動かし始めた。突然の刺激に堪え性のない俺の身体は波を打つ。ほぼ反射的に口元を手の甲で覆っていた俺に、黒名はどこか面白くなさげに口を尖らせた。

彼が品性の欠片も見られないような姿の俺を蹂躙していると、どこからか

「黒名～、？ったく、どこ行ったんだよ」

黒名とよく一緒にいるサッカー部の男子の声が響いてきた。

黒名は個室のドアを上手いこと使い、開きっぱのまま、けれども外からは見られないように俺をいじめているのだ。

バレるのも時間の問題である。

黒名も同じことを思ったのか、ドアを施錠したのち、便器に腰掛けていた俺の腰を浮かせた。そしてふたり重なるような状態になった。

黒名の熱っぽい吐息が耳にかかる。バックハグされているようなもので、その事実がさらに俺を羞恥の谷の底へと突き落とした。

それでもなお逃げようとする俺に痺れを切らしてか、彼は俺の腰をがっつり掴んだ。

見た目のわりに骨張った手が俺の自由を奪っている様にどうも興奮した。

「かわいい、A」

「んっ、ふ、あああ、まってだめ……ッッ、黒名っ、！」

不意な名前呼びに頭が空っぽの真っ白、空虚に満ちる。

火花がちかちかと滲んだ視界に咲く。

俺は、想い人である黒名蘭世にイかされてしまったらしい。

「……ごめん、嫌だったよな……ごめん、本当に」

ややあって、耳のすぐうしろからしょげたような反省したような声が聞こえた。直後のため少しぞわっときたのは秘密である。

「そんなこと、ない……お互い様ってやつ」

そしてまた少しあってから、黒名はギリ聞こえるくらいの小さな声で呟いた。

その言葉に俺は赤面しながらも頷いた。

「ごめん、遅くなって！」

教室に戻ると、大方のことは既に決まったらしく、いつもの面々が俺を待っていた。遅い、何してたんだうんこかと問われる。

「実は、その……付き合った」

そっと首に手を置き、俺は少々恥じらいながら答えた。

その手の下では紅い自分だけの華が一輪、美しく咲いていた。

俺は彼を見誤っていた。

どうやら黒名蘭世という男は、近所のツレない野良猫でも何でもなく、独占欲強めな狼だったらしい。