【実/況/者】ヤンデレだらけのアパートで【男主】 (ページ8)

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生活6日目ページ8

…は
好きって、好き？

『好き…は？』
「うん！A君のことが好きやねん！」

元気にそう言うレトルトさん
こんな状況なのに明るく言っているからか、狂気じみた何かを感じる
…いや、こんな部屋を作り上げる自体もう狂気じみてるのだけれど
混乱する俺をよそにレトルトさんは言葉を続ける

「この一か月俺頑張ったんやで？A君が引っ越してきてから3日後に、A君の部屋に監視カメラ付けたんや。最初はそれだけでええかなーって思ったけど、やっぱ声もちゃんと聞きたいから盗聴器も付けたんやで。けど、A君が学校行ってる間は流石に俺も仕事やしA君の姿見れなかったのが本当辛かったんや」

前半は笑顔だったのに、後半になるにつれて笑顔が消えていった
怖い
人にここまで恐怖心を抱いたのは初めてだ

「だから、A君を俺の家に置けばずっと見てられるからええと思ったんやけど、ただ置くだけじゃ俺が一方的に縛ってるだけになるやん。だから、俺の愛をA君に受け取ってもらって、その上でA君も俺のことを好きになればお互い利害の一致で、同居できるやん。ええ考えやろ？」

何を言ってるかさっぱりわからない
利害の一致？何を言ってるんだ
今、俺は腕拘束されて、レトルトさんの家に無理矢理連れてこられたんだ

『こんなの…誘拐じゃないですか』

そう言うと顔を思いっきり近づけてきた
額と額がくっつきそうな程

「だからさっきも言ったやろ？A君が俺を好きになってくれれば、誘拐にはならない。同居になるんや」
『何言ってるかさっぱりですね』
「うーん…やっぱ今すぐに理解してもらうのは厳しいかぁ…」

そう言うと、顔が少しだけ離れた
後ろで拘束されている手首をガシャガシャとやっていると、片方の手のほうが壊れるのが分かった
足は拘束されていない

いける

「あ、じゃあさ」
『うるっせえ！！』

こっちを見て、笑顔のレトルトさんに容赦なく頭突きをした
頭がクラクラするけれど、そんなの構ってる暇はない

立ち上がり、ダッシュで玄関に向かう
幸い、追ってくる様子もない
…追ってくる様子もない？

ドアノブに手をかけ、回すとあっさりと開いた

不気味すぎると思いつつも、自分の部屋に入りすぐに鍵をかけた

安堵したのも束の間、そこで大事なことを思い出す
この部屋には、監視カメラも盗聴器も至る所に付けられてるということを