◇鏡に映る、君は花。---nk ページ1
《学パロ》
目線の先、そこにいるのはいかにも清楚と言うような幼馴染の姿だった。
「あ''ぁぁ……なんでこうも上手くいかないんだろ…」
「そりゃ人生全てうまく行ったら怖いだろ。」
「るせっ！まともに恋したことないくせに。」
スマホをいじりながら冷静に突っ込んでくる友人・きりやんをポカポカと殴る。
その時、友達と話していた幼馴染・Aと目が合う。
すると彼女は、月のような微笑みでこちらに手を振ってきた。
あまりにも美しいその景色に思わず息を呑んでしまう。
「はぁぁぁ……いつからあんなに綺麗になったんだか…」
「ナカムが好きになったからじゃないの？」
「………たしかに…」
「あ、納得するんだ…」
いい加減告白しなよ。と言われるが、上手くできないのが現実だ。
実際彼女はクラスの中心、顔良し、成績良し、性格良し……と、まさに高嶺の花。
いや、鏡に映る花、水に反射する月…とでも言っておこうか。
登下校一緒に行けるという特権持ちだから高嶺の花のように遠い存在ではない。
でも、いくら近づいても手には取れない。そんな雰囲気があった。
結局そんな片思いを拗らせて数年、もう慣れっこな下校時間を過ごす。
『…ねぇナカム。』
「？なに？」
『私ね、最近悩んでることがあるんだ…』
それを聞いた時、俺は目玉が飛び出るんじゃないかと思うほど驚いた。
いや彼女だって人間なんだから悩みの一つや二つくらいあってもおかしくはない。
だが、なんでも完璧な彼女から出ると違和感がすごかった。
『最近ね、よく視線を感じるんだ。』
「え？」
『そうだな……凄いあっつい視線を向けてくるんだよね。誰かさんが。』
その途端、意地悪な顔でこちらを見てくるもんだからドキッとしてしまう。
こうやって二人きりで視線を合わせたのはいつぶりだろう。
今なら、彼女に届きそうな気がした。
「…A。おれ、」
『好きなんでしょ？知ってるよ？』
「……うぇえ？！」
届くと思ったが、どうやら彼女の方が一枚上手のようだ。
いつからだと聞けば最初からと言われ、顔が一気に熱くなるのがわかる。
『いいよ。付き合っても。』
その言葉に俺は大喜びしてしまった。
まぁ無事付き合うことができたんだが……
『はい。コレ誕生日プレゼント。』
「うぇ？！スイーツ半額券ッ？！！しかも最近気になってたとこの…な、なんで知ってんのっ？！」
『ふふっ。なんでだろうね？』
やはり君に手は届かなそうだ。
でも、いつか届いてみせるから。
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作者名：長月チョコ@09 | 作成日時：2023年10月12日 18時
