思い出だけがそこに ページ25
シーシャ屋が入っていた二階建ての建物は、別のお店になっていた。
1階は前と変わらず、ギャラリーのままで2階は…？
いつ頃なくなったのかと気になって2階のお店に行く。
ドアを開けるとそこには、ダボダボした服をきたお兄さんが1人。
店員｢いらっしゃいませ｣
A｢あのここって…｣
店員｢あ、手前が古着で奥が古本を扱ってます｣
A｢へぇ、古着と古書…珍しいですね｣
店員｢ここのオーナーの趣味で｣
A｢…オーナーさん？ですか？｣
店員｢いや、僕はただのバイトなんですけど。オーナーさんは有名な人ですよ、知らないですか？結構ファンの方が来るんですけど｣
A｢誰ですか？｣
店員｢コムドットのゆうたさんです｣
A｢え、そうなんですね｣
詳しく聞いたら、シーシャ屋の店長さんが実家を継ぐことになり、お店をたたむと聞いたらゆうたくんがやまとくんにお願いしてお店を出したらしい。
店員｢すごいですよね。ゆうたさん。｣
A｢どうして？｣
店員｢ここの服、全部古着なんですけどゆうたさんがいろんな古着屋さんを回って買い付けしてるし、自分でモデルしてたり私服で着なくなったのを置いたりしてるんです｣
A｢へぇ…｣
店員｢それにこの古本も、知り合いの古書店のおじいさんから全部譲り受けて、そのおじいさんはもうお店閉めちゃったんですけど、代わりにゆうたさんが販売してるんです。｣
A｢そうなんだ｣
店員｢ファンの子達も、ゆうた君が本読むなら私も！って買っていくし。ゆうたさんは本当にすごいです｣
A｢……ゆうたさんぽい｣
店員｢…知り合いですか？｣
A｢どうして？｣
店員｢え、いや、ゆうたさんの話聞いてる時のお姉さん、すごく優しい顔してたんで｣
A｢…知らないよ｣
店員｢そうでしたか。あ、いらっしゃいませ！お疲れ様です｣
ドアが開く。
(ゆうたくん…？)
店員2｢お疲れ様ですー…あれ、お客さん？｣
A｢あ、もう帰るんで。また来ます｣
店員｢あ、はい！ありがとうございます！またぜひ！｣
急いでお店を出た。
ゆうたくんにまた会えると思ってしまった。
引越し作業をしている時、整理していた本の中で目に止まった梶井基次郎の｢檸檬｣。
何気なく手に取って読んでいたら、ゆうたくんを思い出してしまった。それから思い出す度に胸がギュッて苦しくなる。
私の人生の最愛は、間違いなくゆうたくんだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 953人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Coffee(プロフ) - 完結した作品と町田さんに対して失礼かもしれませんが、二人が再開したあとがめちゃくちゃ気になります。是非続きの執筆の検討をお願いします。 (2023年1月4日 5時) (
レス) id: 7ef3e9a63f (このIDを非表示/違反報告)
Coffee(プロフ) - 初コメ失礼します！この作品を書いている方に対して申し訳ないのですが、今まで夢小説を見るのが苦手でしたが、この作品の世界観と文の雰囲気に惹かれてこのシリーズを最後まで読み切りました。最後のゆうたのセリフを読み終えたあと何故か泣いてしまいました。 (2023年1月4日 5時) (レス) @page27 id: 7ef3e9a63f (このIDを非表示/違反報告)
。 - 終わり方が好きすぎる、、、ここまでいい話ない、、🙂 (2022年9月6日 0時) (レス) @page27 id: 5310fc155c (このIDを非表示/違反報告)
itsuyose06(プロフ) - 今まで見てきた中で1番いい話（；_；） (2022年3月25日 3時) (レス) @page27 id: f92ba77be7 (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - 更新お疲れ様でした、とても素敵なお話でした！再会した後の2人がとても気になります！良ければ執筆して頂ければとても嬉しいです！是非検討よろしくお願い致します！ (2022年2月25日 8時) (レス) @page27 id: 53801864fa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：町田 | 作成日時：2022年1月28日 17時
