ファンだけどファンじゃない-3-

3年前 ページ16

A｢ねえ、この服ならいい？｣
やま｢ダメだよ。そんなに肩だしちゃ｣
A｢そしたらもうこれしかない｣
やま｢それはスリット入りすぎ！やだ！｣
A｢ねえ、決まんないから。どっちかにして｣
やま｢…脚ならまだいい｣
A｢じゃあこれで｣

今日は、やまとくん初著書｢聖域｣の最多部数発行記念パーティーだ。YouTuberにして異例の最多部数を記録した記念に、私の会社が主催のパーティーを開いてくれることになった。

いろんな作家たちがお祝いに来ることはもちろん、コムドットメンバーと裏方のみんなも呼ばれている。

私は今、やまとくんの家でドレスを決めているところだ。
やまとくんのわがままが酷すぎて全然決まらないまま1時間。あと出るまでに30分。

A｢よし、これで｣
やま｢ねぇ…｣
A｢なに？…んっ｣

後ろから抱きしめて来たと思ったらそのまま顔を掴んで無理やりキスされた。ちょっと強めなのは嫉妬の証だ。

やま｢やっぱり見せたくないよ…こんな姿のA｣
A｢かっこいい登場したいって言ったのはやまとくんでしょ。服装、似たようなのにする大変だったんだから｣
やま｢でも……。ここのキスマーク付けてみんなにっ｣
A｢たくさんのメディアがいるの。我慢して？｣
やま｢…うん｣

子犬みたいにしょぼくれてるやまとくん。
不覚にも可愛いと思って甘やかしそうになるけど、今日はしっかりしないといけない。

A｢分かった。じゃあペアリングしてくから！｣
やま｢それなら嬉しいからおっけー！｣
A｢…簡単だなぁ｣
やま｢どうせ俺はちょろいですー。もっかいだけキスいい？｣
A｢どうして？｣
やま｢だって口紅塗ったらキスできない｣
A｢…1回だけね｣
やま｢それ以上したら、会場行けなくなりそうだから｣
A｢それはダメ。んっ…｣

こんなところ、メンバーには見せられない。

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