何もなかった私達。 ページ26
シーシャ屋で会っていたゆうたくんとは、明らかに違う口調だった。
やま「えっと…」
ゆた「やまとが連れてきたの？」
やま「うん」
ゆた「…」
やま「Aさん、知り合いですか？」
A「…いえ。違います」
ゆた「…俺の人違いだわ」
A「初めまして。やまとくんの本の担当をしています。渡辺Aです。」
ゆた「初めまして」
中野「じゃあ、そろそろメイクとか衣装とか合わせようか」
ゆた「はい」
そう言って、すぐ離れていくゆうたくん。
「初めまして」
自分の口からとっさに出た嘘に後悔した。
出会った時から、一方的に離れるまで私の頭の中はずっとゆうたくんだけだった。
寝る前に思い出して寂しくなったり嬉しくなったり、一緒にいたいと思ったし連絡先を教えたらもっと話せるのにと後悔した。
でも私はファンで、近づいてはいけない存在。
ゆうたくんの落ち着く場所に入ってしまって、欲張りにも嘘をついた私が全て悪い。
もっと、もっとって期待した。なのに怖くなって逃げた。傷つけない方法を探す方が難しい。
それにもう、終わりだ。
ゆうたくんは明らかに私を嫌っている。
あんなに冷たい口調は初めて聞いた。
やま「大丈夫？」
落ち込んで俯いている私に小声で話しかけてきたやまとくん。
メンバーにバレないように心配してくれているのが分かる。
この人はどこまでも優しい。
A「うん。大丈夫だよ」
やま「ほんと？」
A「うん。どうして？」
やま「ゆうたと話した後から、なんかちょっと落ち込んでるみたいだから」
A「…あ、なんか改めて5人に会えてることに緊張しちゃって」
やま「そうなんだ。」
A「まあファンだしね」
やま「今日の撮影さ」
A「？」
やま「みんなすごくかっこよくなるんだけど、俺だけ見ててね」
そう言って頭をぽんぽんしてくるやまとくん。
A「ちょ…みんないる所ではやめてって」
やま「なんか今の彼女っぽい」
A「違うから」
やま「ええ…でもさ」
わざと茶化して元気にしようとしてくれているのが分かる。
やまとくんはきっと人の気持ちを誰よりも早く感じれる人だ。
そんな彼に落ち込んだ私はいつも助けられている。
少しずつ、やまとくんの存在の大きさを実感している。
私に必要なのは、この安心感なのかもしれない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 656人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふぅ(プロフ) - 主さんページ30でだし決められちゃってます笑笑いつも楽しく読ませていただいてます😉 (2022年1月29日 0時) (
レス) @page30 id: 2657ecbc9b (このIDを非表示/違反報告)
TUGUMI(プロフ) - 今回のお話も、凄くドキドキしながら楽しみに読んでます更新大変だと思いますが頑張ってください (2022年1月27日 20時) (レス) @page23 id: 4f8970cd47 (このIDを非表示/違反報告)
com.coco - 毎回この後どうなるんだろう、、とドキドキしながら読ませていただいてます。言葉が一つ一つ分かりやすいのでとても読みやすいです。引き続き読ませていただいきます。更新頑張ってくださいm(__)m (2022年1月25日 0時) (レス) @page10 id: 1998a4c260 (このIDを非表示/違反報告)
com.coco - 毎回この後どうなるんだろう、、とドキドキしながら読ませていただいてます。言葉が一つ一つ分かりやすいのでとても読みやすいです。引き続き読ませていただいきます。更新頑張ってくださいm(__)m (2022年1月25日 0時) (レス) @page10 id: 1998a4c260 (このIDを非表示/違反報告)
町田(プロフ) - みみさん» 誤字です。修正いたしました。気づいてくれてありがとうございます (2022年1月24日 23時) (レス) id: 2870565925 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：町田 | 作成日時：2022年1月18日 19時
