不本意 ページ7
転職して、2週間。
出版社は思ったより忙しい。
もともと地元の小さい出版社で働いていただけあって、割とすぐ馴染めたけどまた担当を持ったりはなくて本当に編集部にいるのかなと少し不安だ。
先輩は優しくしてくれるけど、なかなか仲良くなれない。
先輩｢お疲れ様〜｣
A｢お疲れ様です！｣
会社を出てすぐ角まで小走り。いつもこの角を曲がったあとに大きなため息をつく。
A｢はぁ…｣
人付き合いが相変わらず下手な私は、2週間で孤独感満載だった。知り合いはいないし会社の人ともプライベートで遊ぶほどではない。
電車に乗って、近くの本屋で買った文庫本を取り出す。
なんとなくモヤッとした日はいつも｢檸檬｣を読むのに、どこかに置いてきてしまった。
(最後に読んだのは…シーシャ行った時だ)
ゆうたくんと偶然出くわしたあの日、焦って会計のとこに置いてきちゃった。店員さん、預かってくれてないかな。
(今日寄ってみるか。シーシャ吸いたいし)
吉祥寺について、ぼやっと覚えてるシーシャ屋までの道のりを歩く。もちろんYouTubeを見ながら。
画面の中のゆうたくんは今日も楽しそうだった。
(毎日毎日すごいなぁ。私もやりたい仕事に就いたはずなのになんとなく上手くいかない…)
今日は美味しいシーシャとビールを飲んで本返してもらおう。そしたら少しは気晴らしになるかも。
店｢いらっしゃいませ！あ、この間の｣
A｢こんばんは〜｣
店｢こんばんは！今日人全然いなくて、ほぼ貸切です！｣
A｢は、はぁ…じゃあカウンターで｣
店｢かしこまりました！どうぞ｣
カウンターの端の方に座る。入口から見えてしまうけどまあいいや。
A｢あの…この前ここに本忘れていっちゃって｣
店｢本？えーと、どんなのですか？｣
A｢黄色のカバーのやつで、ちょっと年季が入ってる｣
店｢あ！えーと誰かが間違えて持って行っちゃったみたいで｣
A｢え、本をですか？｣
店｢は、はい｣
(なんか、怪しい…けど)
店｢すいません…誰だったかなぁ…｣
A｢いえいえ！大丈夫です！すいません｣
店｢こちらこそ、ちゃんと探します！｣
A｢え、いやあのいいんです！ずっと前に買ったやつなんで！大丈夫です！…すいません｣
店｢でも大事なやつじゃ｣
A｢…いえ、大丈夫です｣
店｢すいません…シーシャとびきり美味しいの作ります！どんなのがいいですか？｣
A｢えーと、｣
？｢こんばんは｣
誰かが来たみたい。
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名無し97824号(プロフ) - 初コメ失礼します。本当に素敵な作品で大好きです！更新大変だと思いますが、楽しみに待ってます！頑張ってください！！ (2022年1月23日 12時) (
レス) id: 0f9e307d0d (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - すごく好きなお話です!!何度も読み返しちゃってます(๑˃̵ᴗ˂̵)更新楽しみに待っています!!これからも頑張ってください！！ (2022年1月7日 10時) (レス) id: 121b987c27 (このIDを非表示/違反報告)
TUGUMI(プロフ) - 初コメ失礼します。 凄くワクワクしながらよんでます。更新大変だと思いますが頑張ってください。 (2022年1月6日 19時) (レス) @page13 id: 4f8970cd47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：町田 | 作成日時：2021年12月31日 21時
