EPISODE30 ページ2
自身の身体が光に包まれていく
自分自身の身に起こっていることが理解できず
自分の身体を何度も見ては混乱する
耳元で「大丈夫」と、優しく微笑んでくれているAは
未だ、腹部に刺さっている刀へ手をかざす
するとその刀は消え、一緒にAの姿も消えてしまった
「A!」
(大丈夫だよ)
頭の中に流れ込んでくるAの声は
いつものように落ち着いていて、混乱していた俺を安心させる
その温かさが、身体を駆け巡る感覚の中
徐々に塞がっていく傷口
痺れていた身体も、何事もなかったように
指先から無意識に動いていく
手を見つめ何度も握っては開いた
(言ったでしょ、私の刀は人を守る刀だって)
Aの刀、技で傷つけられたものは
跡形もなく、元の肌色を表していた
「あァ、そうだなァ」
握っていた刀をさらに強く握る
真っ直ぐ鬼を見据え、今度こそ首を切る
(実弥、実はあなたに黙ってたことがあるの)
Aの姿は見えなくとも、声は聞こえる
いつも縁側で話すような感覚で、「なんだ?」と問い返した
(本当はね、未完成なの・・・陸ノ型)
「・・どういうことだァ」
(どうして、風の呼吸を取り入れたかったか、覚えてる?)
あァ、忘れるわけない
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作者名:玲兎 | 作成日時:2020年10月25日 15時