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翔「え？何？知り合い？」
「いや、知り合いって事では…」
『失礼します』
例のキャバ嬢は俺らの前にビールを置くと、すぐに他のお客さんのとこにオーダーを取りに行った。
涼「…目黒くん、Aちゃんのこと知ってるの？」
「いや、知ってるというほどでは…たまたま会った時に印象的だったので…」
涼「そうなんだ。まぁ、Aちゃんは印象的だよね」
翔「印象的？」
涼「あの子ね、前の仕事がそのいわゆる夜の仕事でね。ミスをして、クビになってそれが不満で店長と揉めて、ドレスのままお店飛び出してきたらしくてね。裸足にドレスでうちの店の前でしゃがみ込んでたの」
「………」
翔「それで？」
涼「流石にそのまま帰すのもなって思って、店の中に入れてあげて、夕飯用に作ってたシチューあげたの。そしたら泣いちゃって」
「え？」
涼「なんかね、」
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『私だって初めはしたくない仕事だったけど、高校も出てない私がすぐにお金が稼げるところってなったらキャバクラしか思いつかなくて…。でも、働いてる人を見たら誇りに思う仕事だなって思って頑張ってたけど、やっぱり周りから見たらお金が欲しい男好きみたいな印象持たれるのが悔しい…本当に悔しい』
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涼「って言っててね。何だか、家庭の状況も複雑そうだったし、働くところ探してるみたいだったから、ウチに来ない？って誘ったの」
「…そうだったんですか」
涼「でも来てくれて助かってるんだよね。料理は美味いし、接客も完璧。お金の管理も何でも出来て助かってる」
翔「いい子雇ったな」
涼「本当にね。あ、二人ともお腹すいたよね。Aちゃんの料理食べてってよ。美味しいから」
翔「じゃあ、その子のおまかせで」
涼「かしこまりました。Aちゃん」
『はい』
涼「こちらのお二人におまかせで何か作ってもらえる？」
『かしこまりました。お腹すいてますよね？すぐ出せるようにします』
涼「うん、お願いね」
キッチンに入るあの子の背中を目で追う。
クビになったのって絶対俺のせいだよな…。
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作者名：翡翠 | 作成日時：2022年10月7日 23時
