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「はぁ」
翔「どうした？深いため息ついて」
休憩がてらにコーヒーを買って、ベンチに座ってたら同じ部署の先輩・渡辺翔太くんが声を掛けてきた。
「翔太くん、お疲れ様です」
翔「うん、お疲れ様。で？どうした？」
「あー。宮舘さん元気ですか？」
翔「涼太？元気だよ。念願の店出せて、忙しいみたいだけど」
「やっぱり忙しいですよねぇ」
翔「なに？涼太がどうした？」
宮舘さんは、翔太くんの幼馴染で最初に担当してくれたハウスキーパーさん。
だけど、自分のお店を出す為に退職した。
男性のハウスキーパーさんで、料理が凄く美味しいし、掃除も丁寧で安心して任せていたから、辞めると聞いた時は寂しかったけど、自分のお店を出したいって話をよく聞いていたから、応援したいなって純粋に思った。
宮舘さんの後に来たハウスキーパーは女性だった。
別に大丈夫だと思ったが、何だか家の雰囲気がおかしい。
ハウスキーパーが来た日は、ちょくちょく物がなくなっている。
高価な物なら警察に行くが、無くなるのが俺が今朝着てた寝巻きとかが無くなって、次の来る日には戻っている。
最初は勘違いかと思ったが、最近は寝巻きだけではなく下着まで無くなるのが怖くなってきている。
料理の作り置きには、タッパーに手紙が貼られていて、それには一々《蓮くん❤︎》と書かれていて料理に手をつけられずにいる。
翔「…は？？何だそれ、気持ち悪すぎないか？絶対ストーカーじゃん」
「やっぱりそう思うよね…」
翔「何ですぐその会社に言わないんだよ」
「なんだか男の方がストーカーされてるって言いにくくて。それに宮舘さんレベルの代わりの人を探すのも大変だし」
翔「まぁ、涼太はなんでも出来たしな」
「やっぱり自分で家事できるようにならなきゃかなー」
翔「手っ取り早く彼女作れよ」
「彼女ねぇ…」
翔「出来ないわけじゃないだろ？」
「だけどなんか嫌なんだよね」
翔「何が？」
「結局、仕事とか顔とかで、俺の中身見てくれる人っていないからさ」
翔「さりげなく自分はイケメンって言ってるの気づいてる？」
「まぁそれなりに整ってはいると思う」
翔「うわぁ、ムカつく」
「とりあえずさ、今日宮舘さんのとこ行こうよ。俺、開店のお祝い出来てないし」
翔「おぉー、涼太に連絡しとくわ」
「お願いします」
翔「そろそろ戻んねーと部長が面倒だぞ」
「だね」
まだ少し残るコーヒーを一気飲みし、俺らは仕事に戻った。
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作者名：翡翠 | 作成日時：2022年10月7日 23時
