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55話 ページ17

もうどれぐらい歩いたのだろうか

振り返ると大きかった家が指でつまめそうなぐらい小さくなっていた

「まだ距離がありそうだけど、歩く?」

「少し疲れちゃった、休みたいな」

道の先を見ても、まだ建物らしきものも、山すらも見えない

この近くには木も一本も立っていないから目印になるものが何一つない

仕方がないからその場所で休憩をすることにした

セルツェはかなり疲れたらしいのか、浅く息を切らしている

「ねえ、A、お膝貸してもらってもいい?」

「どうぞ」

セルツェはゆっくり膝の上に頭を置いた

休憩がてらに何か話をしよう

「セルツェ、昔の人は星に線を引いて名前を付けていたんだ」

「例えば?」

「牛とか、ライオンとか?」

「なにそれ、できるの?」

セルツェは苦笑した

「私もわかんない、これだけ星が多いと、いつもみている星座が埋もれちゃってて」

「Aの住んでいるところは、星が少ないの?」

「うーん、周りが明るすぎて見えないんだ、だから一番明るい星だけがよく見えるの」

「へんなの」

「そうだね」

なんて、しょうもない話ばかりしていると、セルツェは眠くなってきたらしい

無理もない、こんなにも歩いたのだから

セルツェの柔らかい髪をなでる

「また明日、たくさん話そう」

「約束…ね」

セルツェは目を閉じた

そして




目を急に見開いて、口から大量の血が出てきた




「……え?」

驚きのあまり唖然としてしまった

そして徐々に恐怖がこみ上げてくる

「ぁぁ…あああぁあ……!!」

混乱した頭でどうすることもできなかった

わけがわからない、彼女はさっきまで元気だったのに

痙攣(けいれん)するセルツェのからだをさすりながら、ただ名前を呼ぶことしかできなかった

体中セルツェの血液で汚れていてもなお、彼女を呼び続けた


「き・・・れぇ・・・」

ぴたりと痙攣が止まり、セルツェは手をそらに伸ばし、優しい顔をしそっと囁いて


ぼとり、と腕がおちて鈍い音が出た


そして大きく低い音を立てて勢いよく肉片が飛び散った


目の前にいたセルツェが消えた

代わりに血に濡れた芝生の上に、汚れひとつない一冊の絵本が置いてあった

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曇天に笑う - 更新してほしいです! (2019年6月1日 8時) (レス) id: 96967fede0 (このIDを非表示/違反報告)
鯖缶(プロフ) - イムさんさん» もったいないお言葉です!喜んで頂けて幸いです!あと、返事が遅くなってしまい申し訳ございませんでした (2019年4月1日 2時) (レス) id: f71cad7af8 (このIDを非表示/違反報告)
イムさん - 中也パイセンイケメンすぎる……! (2019年1月27日 22時) (レス) id: e7f7ec6ca4 (このIDを非表示/違反報告)
鯖缶(プロフ) - 曇天に笑うさん» なかなかアイディアが浮かばないのでリクエストなど、参考になるものを頂けませんか?宜しければお願いします (2018年12月28日 0時) (レス) id: aa7bacf7ae (このIDを非表示/違反報告)
曇天に笑う - 続き見たいです! (2018年12月23日 14時) (レス) id: 96967fede0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鯖缶 | 作成日時:2018年12月6日 17時

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