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54話 ページ16

ついに出口の前まで来てしまった

今更この子は外に出すべきではないかもしれないなんて考え始めてしまった

きっと外に出たら外の人たちが彼女を恐れてしまうかもしれなかったから

きっと彼女も同じ考えだったのだろう

それでも彼女は乗り越えることができるのだろう

なぜなら彼女は私の想像をはるかに超える強い子なのだから

「いい?お母さんが言っていた通り、外は怖くて素敵なところなの

どんなにつらくても、あなたにやさしくしてくれる人間はきっといることを忘れないで」

「わかった

ねえ、お願い聞いてもらってもいい?」

「何でも聞いてあげる」

「名前、教えてほしいんだ

外であなた、何て呼んでいると夫婦みたいになっちゃう」

「ふふ、そうだね、ちゃんと名前で呼ばないとね

私はA、君は?」

「私の名前はね、セルツェって言うの」

「ロシア語だっけ?意味は忘れちゃったけど」

「何でもいい、さ、外にきましょ!」

そう言いながら、セルツェの細い指が毛に絡まった

私はゆっくりと扉を開けた




そこには黒炭のように黒い夜空に無数の星、その下にはやわらかい芝生に小さい色とりどりの花々があり、夜空をそのまま置いたかのように、とにかくきれいだった

それがただ延々と続いている

まるでどこかのおとぎ話のような、そんな景色だった

「セルツェ、これが外の世界だよ」

「…すごくきれい」

セルツェの黒く、潤いがある瞳には鮮やかな色でいっぱいになっている

彼女は今とても幸せそうに見える

「少し、歩こうか」

此処で国木田さんも見つかればいいのだけど…


月の光を頼りに、また歩いていく

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曇天に笑う - 更新してほしいです! (2019年6月1日 8時) (レス) id: 96967fede0 (このIDを非表示/違反報告)
鯖缶(プロフ) - イムさんさん» もったいないお言葉です!喜んで頂けて幸いです!あと、返事が遅くなってしまい申し訳ございませんでした (2019年4月1日 2時) (レス) id: f71cad7af8 (このIDを非表示/違反報告)
イムさん - 中也パイセンイケメンすぎる……! (2019年1月27日 22時) (レス) id: e7f7ec6ca4 (このIDを非表示/違反報告)
鯖缶(プロフ) - 曇天に笑うさん» なかなかアイディアが浮かばないのでリクエストなど、参考になるものを頂けませんか?宜しければお願いします (2018年12月28日 0時) (レス) id: aa7bacf7ae (このIDを非表示/違反報告)
曇天に笑う - 続き見たいです! (2018年12月23日 14時) (レス) id: 96967fede0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鯖缶 | 作成日時:2018年12月6日 17時

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